研究課題/領域番号 |
18K16889
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
森崎 剛史 鳥取大学, 医学部附属病院, 医員 (30817812)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 声帯注入 |
研究実績の概要 |
反回神経麻痺による声門閉鎖不全の治療として声帯注入術がある。声帯への注入物としては自家脂肪、コラーゲン、ヒアルロン酸などがあり、異物反応の観点からは自家脂肪が最も安全性に優れている。しかし、注入物の吸収によって治療効果が持続しないという問題がある。乳房再建や顔面軟部組織再建など、自家脂肪注入が行われる領域でも注入物の吸収による治療効果消失が問題であったが、近年、脂肪組織由来再生細胞(ADRCs: Adipose-Derived Regenerative Cells)を用いることで治療効果の消 失を防ぐことが可能となった。本研究の目的は反回神経麻痺モデル動物を用いて高濃度ADRCs含有自家脂肪が、声帯注入後の体積維持に効果をもつのかを統計学的に検討することである。 今年度は実験の基本となる動物の反回神経麻痺モデルの確立、喉頭展開のための手術器具作成を行った。当初計画していたウサギの喉頭展開のために、特注で金属製の喉頭直達鏡を作成した。また声帯への注射針刺入の主義を確立できた。当初の計画にはなかったが今後の研究で使用見込みであるラットの喉頭直達鏡の作成、声帯への注入手技の確立、反回神経麻痺モデルの作成、皮下脂肪採取の手技確立も行った。経口的に硬性内視鏡明視下に上記の各種手技を確立することに成功した。 動物モデルにおける上記特殊手技の確立は、今後すべての声帯研究のあしがかりとなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脂肪吸引による自家脂肪採取を当初計画していたが、モデル動物の薄い皮下脂肪からの採取は困難であり、皮下脂肪塊を外科的に切離してから注入できるように加工する工夫が必要となった。また、当初予定していたウサギの使用では、今後研究を発展させる際に必要となる遺伝子情報が不足しており、ラットを用いた研究えと切り替えるべきと判断したため、再度ラットでの各種手技確立を行う必要があった。 以上の予期せぬ計画変更のため時間を費やしやや遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今後はラットを用いるように計画を変更する。その他の部分は当初予定していた研究内容に準じて推進する。 研究の目的や大幅な見直しは要さないと思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請時の各費用を減額での交付決定であったため、購入物品のコストダウンを図った結果、わずかに予算に余剰が出た。 次年度の研究を行うための消耗品を追加購入する。
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