研究課題/領域番号 |
18K16890
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
菅谷 明子 岡山大学, 大学病院, 助教 (20600224)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 音韻障害 / 難聴 / 遺伝子解析 / 言語発達 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、令和元年度に採血および解析を行った家系について検討を行った。 本家系の発端者は、地域の難聴学級に在籍しており、この春から中学校に進学している。発端者は、新生児聴覚スクリーニングで両側の難聴を指摘され、生後6ヶ月から補聴器装用を開始し、2歳7ヵ月で右耳の、4歳0ヵ月で左耳の人工内耳手術を受け、現在人工内耳の両耳装用を行っている。人工内耳装用下の聴力閾値および語音明瞭度は良好だが、当初は音声で話していても近親者を除いては何をしゃべっているのかわからない状態だった。また、構音についても変化が浮動的で一定の傾向を認めなかった。単語の復唱ではモーラ数があっていない、またはもともとのモーラ数より少ない状態で、非語の復唱が不可能であった。このため、音韻障害と診断し、現在は放課後等デイサービスにて定期的に訓練を受けている。発端者の弟は発端者と同様に新生児聴覚スクリーニングにて難聴を指摘され、生後3ヵ月より補聴器装用を開始しており、その後に異時性に両側人工内耳手術を施行されている。幼少であり、現段階では評価は難しいが、両側人工内耳術後も言語の表出が著しく遅れており、音韻障害の合併が疑われている。発端者の妹および両親は正常聴力であり、妹の言語発達には特に遅れは認めていない。5名が研究に参加されたため、全エクソームトリオ解析を施行した。 この結果について、当院バイオバンクと連携して解析を行った。音韻障害の既知の遺伝子変異は認めていないが、候補遺伝子が複数個検出されたため、さらなる検討を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに採血を行った症例についてはトリオ解析を行い、原因となる可能性の遺伝子について検討できた。また、新たに2家系について研究について説明を行っており、同意が得られたら採血および解析を行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度解析を行った症例について、原因となる可能性の遺伝子が検出された。今後、さらに検討を進めるとともに、今回リクルートした家系が研究に同意された場合は、採血および解析に提出する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により、全エクソームトリオ解析に遅れが生じたため次年度使用額が生じた。使用計画としては令和3年度も対象者のリクルートを行っており、希望されたら遺伝学的検査を行う体制としている。このための費用が必要である。
|