研究課題/領域番号 |
18K16891
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
檜垣 貴哉 岡山大学, 大学病院, 助教 (30587407)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | IL-22 / IL-22受容体 / 慢性副鼻腔炎 / 好酸球性副鼻腔炎 / アスピリン不耐症 |
研究実績の概要 |
本年度は、慢性副鼻腔炎におけるIL-22の発現と、IL-22受容体の発現の制御についての検討を進めた。第一に鼻副鼻腔の細胞のIL-22産生の制御機構について検討した。副鼻腔炎の組織は微生物毒素などの刺激にてIL-22を有意に産生することを示した。副鼻腔炎においてIL-22が何らかの役割を持つことを示唆する結果である。 また、副鼻腔炎の病態において好酸球による炎症が主体になっている好酸球性副鼻腔炎においてはIL-22受容体の発現が低下していることを示唆する結果も得られた。受容体の発現の低下は好酸球性副鼻腔炎におけるIL-22の作用を抑制している可能性がある。 喘息およびアスピリン過敏の有無で、副鼻腔炎組織におけるIL-22の発現を検討したところ、喘息においてIL-22受容体の発現が高まっていることが明らかになった。一方で、IL-22受容体についてはアスピリン過敏がある場合発現が低下していることを示す結果が得られた。アスピリン過敏は慢性副鼻腔炎の中でも重症な場合が多いが、IL-22受容体の発現が少なくIL-22が働かないことが重症化の一因となる可能性を示唆している。 IL-22受容体の発現がどのように制御されるのかについて各種の刺激を加え検討をした。Toll様受容体を刺激する物質の一つであるPoly(I:C)が鼻茸の上皮細胞においてIL-22受容体発現を促進している可能性が示された。IL-22受容体の発現を制御する機構の解明につながる可能性が有る結果である。 これらのように、慢性副鼻腔炎のIL-22の役割について、IL-22そのものの発現を評価すると同時に、IL-22受容体についても注目し解析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではIL-22と、その受容体のIL-22受容体の発現について慢性副鼻腔炎における役割を検討し、特にアスピリン過敏症の有無による違いを検討することを目的にしている。 これまでに得られた研究は、この検討を進めていく上での基礎となる結果が得られており順調にデータも増やしている。 引き続き同様に研究を進展させていくことで必要年限内に研究成果をまとめることが可能であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた研究結果についてはまだデータ量が不足しており、さらに同様の研究方法でデータ量を増やすことを第一の方針としている。 データ量を増やすとともに、遺伝子解析などの新たなアプローチを行い、多方面から検討を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に旅費の支出が、計画より少なかった為、次年度使用額が生じた。 次年度も学会発表等に伴う旅費への支出の他、物品購入等も必要となる見込みでこれらへ使用する計画である。
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