令和2年度の研究目標は、顔面拘縮を発症した患者に対するボツリヌス毒素・触覚フィードバック併用療法の長期効果を調べることであった。昨年度、ボツリヌス毒素・触覚フィードバック併用療法の治療効果を検討するために対象とした8例の経過を追跡し、初年度に開発した3Dスキャナを使って顔面の3Dモデルを作成し顔面拘縮の程度を評価する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で受診を控えたため6例のデータを得ることができなかった。中でも徳島県外から受診している症例は受診すらできない状態となったために長期成績を検討することはできなかった。統計学的な解析は行えていないが、ボツリヌス毒素・触覚フィードバック併用療法を行った患者は、3-4カ月で消失するといわれているボツリヌス毒素の効果が消失した後も、治療効果を維持できていた。また同様の理由にて、新規対象患者も増やすことはできなかった。もう一つの研究目標である治療開始時期が治療効果に与える影響については対象患者が増加しなかったため統計学的な検討は行えなかった。ボツリヌス毒素単独の治療効果は8例中7例にみられ、この7例と効果が得られなかった1例と顔面拘縮が発症してからの治療期間に差はみられなかった。ボツリヌス毒素・触覚フィードバック併用療法を行った2例は顔面拘縮が発症してから2年以上経過しても治療効果を得られていたため、治療開始時期は治療効果に影響しないと考えられる。
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