研究課題/領域番号 |
18K16895
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小宗 徳孝 九州大学, 大学病院, 助教 (80529884)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 外耳道癌 / 側頭骨 / 扁平上皮癌 |
研究実績の概要 |
TCGAデータベースを用いた解析、マイクロアレイを用いた解析、さらには、過去の文献データより、NLRP3の発現に着目して本年度は解析を行った。患者由来のRNAを抽出して、定量PCRにてNLRP3およびIL-1βのmRNAの発現量を、側頭骨扁平上皮癌の進行癌症例と早期癌症例において比較すると、進行癌での発現が上昇していることを確認した。臨床予後とNLRP3の蛋白発現量の相関を検証するために、パラフィン切片でのNLRP3の発現量を解析する方針とした。現在、NLRP3の免疫組織染色の条件検討を行っているとことである。 また、本年度は、側頭骨扁平上皮癌患者の臨床データを用いて、炎症性予後マーカーの解析も行った。側頭骨扁平上皮癌の炎症性マーカーの予後因子についてはこれまで報告がなかったため、当院で初期治療を行った71症例で、後方視的に解析を行った。その結果、好中球/リンパ球比および血小板/リンパ球比が高値であり、リンパ球/単球比が低いことが臨床予後を不良にすることがわかった。また、Glasgow prognositc scoreと、sytemic inflammation scoreはscore2が有意に予後を不良にすることもわかった。さらに、多変量解析の結果、systemic inflammasion scoreのscore2が独立した予後因子であることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19による研究制限のため、解析が遅れている。そのため、研究期間を1年間延長した。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は、RNAseqでのinflammasome関連分子の解析を最終的に完遂する予定である。現在、RNAseqの解析を行っている最中であり、まだ、側頭骨扁平上皮癌の発癌と関与するinflammasome 関連因子の同定には至っていない。また、臨床予後と相関するinflammasome関連分子の候補分子が同定できたら、in vitroでの確認実験を行っていきたい。最終的には、臨床予後と相関するinflammasome関連因子の同定を行いたい。現在、NLRP3に着目して解析を進めているが、それ以外の候補分子が見つかった際は、それらの分子の解析も同時に並行して進めていく方針である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染症のパンデミックに伴い、研究活動の制限があったため、予定より研究の進行が遅れた。そのため、研究活動期間を1年間延長した。次年度は、現在進行しているRNAseqの解析と、免疫組織学的解析を進めていく予定である。
|