研究課題
若手研究
側頭骨扁平上皮癌において、インフラマゾーム関連遺伝子の中のNLRP3の発現は、癌のステージが進行すると上昇する傾向にあることがわかった。特に、リンパ節転移症例では、リンパ節転移のない症例と比較して有意にNLRP3発現が上昇していることがわかった。また、NLRP3発現とEMT関連遺伝子との相関も示唆された。さらに、低栄養状態でのNLRP3の発現上昇が側頭骨扁平上皮癌細胞株で認められることから、NLRP3が何らかのパスウェイを活性化させることで、転移能の亢進に関与している可能性が考えられた。
頭蓋底外科
側頭骨悪性腫瘍の頻度は100万人に6人未満、頭頸部腫瘍の0.2%未満と報告されており、扁平上皮癌が主な組織型である。本研究では、側頭骨原発扁平上皮癌に着目し研究を行った。口腔・咽頭等の他の頭頸部扁平上皮癌はGenomic landscapeが発表され分子生物学的解析が進んでいるが、側頭骨原発扁平上皮癌の分子生物学的解析の報告は少ない。そのため、分子生物学的エビデンスの構築という面で、本研究の研究成果には学術的意義はあると考えられる。