研究課題/領域番号 |
18K16908
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
穐山 直太郎 東邦大学, 医学部, 講師 (90554238)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 癌生存シグナル / 外耳道扁平上皮癌 / EGF / PDK1 / エレクトロポレーション |
研究実績の概要 |
外耳道扁平上皮癌は進行癌で発見される場合も多く、その場合は生命予後が不良であるばかりか拡大手術による聴力喪失や整容的な問題が避けられない。手術法の進歩や化学療法の改変などにより生命予後の改善を認めるが、現状は外科的手術療法と放射線治療の併用が治療戦略の主体であり、新規保存的治療法の開発が望まれる。外耳道扁平上皮癌は稀であるため、確立した癌細胞株や疾患モデルは報告がない。疾患に即した病態解析、治療法開発を目的に外耳道扁平上皮癌動物モデルの開発に着手した。 上皮成長因子、Epidermal Growth Factor(EGF)は頭頸部癌の発症、浸潤、転移との関連が示唆されており、初年度はICRマウス(6w, ♂)を用い、EGF発現ベクター(pCMV-hEGF-Flag)をエレクトロポレーション法を用いて外耳道皮膚に導入し、EGF誘導性外耳道扁平上皮癌モデルを作製した。硬性内視鏡を用いた耳内観察ではEGF発現ベクター導入群で外耳道に隆起性病が確認された。パラフィン包埋切片による解析では上皮細胞の異常増殖が確認された。次年度以降、本モデルの免疫組織学的解析を中心に行い、Flag染色によるベクター導入の確認、EGFおよびEGFレセプター(EGFR)の高発現、増殖性マーカーのKi67陽性細胞数の上昇、腫瘍マーカーp53の発現が確認され、癌生存シグナルマーカーPDK1の発現上昇を認めた。PDK1特異的阻害剤および非特異的プロテインキナーゼリン酸化阻害剤を用いた投与実験ではPDK1特異的阻害剤で良好な阻害効果が得られた。 現在、追加解析を行いながら研究結果をまとめ、論文投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID19感染拡大に伴い研究室使用に制約が加わったため、解析にやや遅れを生じたが解析結果は着実に得られている。実験内容も当初の予定通り進行しており、特に問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
各実験群における免疫組織化学によるタンパク発現解析を追加し、EGF誘導性外耳癌マウスモデルに対する特異的PDK1阻害薬の有効性の解析について研究成果をまとめ、論文投稿予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID19感染拡大に伴い研究室の使用に制限を生じ、実験遂行に遅れを生じたため、抗体等試薬の購入を見合わせた。また、国内外の学会発表に制限を受けたために余剰を生じ次年度に繰り越した。次年度は試薬の購入、成果発表のための学会参加費用、論文作成費用に使用する予定である。
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