ゲルに封入したbevacizumabの溶液中への徐放性をin vitroにて検討した。溶液としては、0.5% bovine serum albumin(BSA)/PBSを用いた。3本のチューブに準備したbevacizumab封入ゲルに溶液を添加後、30分、90分、270分、1日、2日、3日、4日、5日、7日、9日、11日及び14日に溶液を回収した。回収した溶液は適宜希釈後、ELISAによる濃度測定を実施した。回収試料のbevacizumab濃度測定実験は3回(2017年6月26~27日、6月29~30日及び7月3~4日)行った。 徐放性実験開始後1日までに85.0%、2日までに94.4%まで溶出されており、その後の14日までの溶出はわずかであった(14日で95.8%)。各回収ポイントにおけるn=3での回収試料濃度の精度(CV)は1.7~16.6%であり、ばらつきは小さかった。検量線について、定量範囲(0.500~20.000 ng/mL)における濃度ポイントでの真度は、各々96.3~102.8%及び97.6~103.6%と安定していることを確認した。以上より、今回使用したゲルにおいて、bevacizumabは2日までに約95%が放出されており、徐放性は低いと推定された。 ゲルの徐放性が低かったため、今後はゲルの組成を変更して、徐放性を再検討する方針である。具体的には酸化グラフェンをゲルの構造に分散させることでbevacizumabの徐放性を制御する機構を検討している。
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