研究課題/領域番号 |
18K16917
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 絢子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20770465)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 円錐角膜 / 再発 / 進行予防 / リスクファクター |
研究実績の概要 |
円錐角膜は進行性に角膜の突出と菲薄化を来たし視力低下をきたす疾患で人口10万人に対して50-230人程度の有病率とされている。治療は、初期にはハードコンタクトレンズによる視力矯正、進行例においては角膜移植が行われる。近年は角膜クロスリンキングという進行予防のための新しい治療法が欧米を中心に実施されているが、日本では保険適応になっていない。本研究の目的は、①再発円錐角膜の進行予防をすること、②再発円錐角膜のリスクファクターや形態的特徴を調べること、③初発、再発含む円錐角膜に関する進行予測のバイオマーカを調べることであった。そしてこれらの結果を診療にフィードバックすることで患者の治療に役立てることが最終目標である。 ①に関連して、円錐角膜患者に対する角膜クロスリンキングの自費診療が開始できる体制が整った。②に関して、再発円錐角膜の特徴を調べるため全層角膜移植術後平均27年経過している症例群100例を角膜屈折力の変化や再移植の有無などについて調査したところ、他疾患群とくらべて、円錐角膜群においては、術後数十年たっても角膜の突出が進むことが示された。また、全層角膜移植後の急性水腫はホストグラフト接合部におこりやすいことが明らかになり、これは初発円錐角膜での急性水腫の好発部位と異なるうえ、他疾患群では急性水腫を発症したものはなかったことから、再発円錐角膜の特徴的所見といえた。現在これらの症例群の詳細な形状解析をさらに進めており、円錐角膜再発のリスクファクターの検索をさらに進めていく計画である。③に関しては涙液サイトカインのみならず患者検体から得られた角膜実質細胞に対するin vitroでの実験も進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
再発円錐角膜に関する論文が2報受理された。円錐角膜再発のリスクファクター検索も現在のところ順調に進んでおり、論文投稿準備を進めていく。 再発円錐角膜の進行予防に関しては倫理委員会の対応に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
再発円錐角膜の特徴およびリスクファクターの検索を進めるほか、随時論文投稿を進めていく。 円錐角膜発症・再発に関する涙液バイオマーカ検索に関しては、サイトカイン等のみならず、RNA、DNAなどの検索にも対応できるよう倫理委員会などの対応を進めていく。また全層移植後得られた角膜実質内ケラトサイトなどの解析も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
臨床研究の開始が遅れたため。研究は継続するため次年度以降に使用予定である。
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