円錐角膜は、進行性に角膜の突出と菲薄化をおこし視力低下をきたす疾患で人口10万人に対して50-230人程度の有病率とされている。治療は、初期にはハードコンタクトレンズによる視力矯正、進行例においては角膜移植が行われる。近年は角膜クロスリンキングという進行予防のための新しい治療法が欧米を中心に実施され、日本でも普及してきているが、保険適応になっていない。本研究の目的は、①再発円錐角膜の進行予防をすること、②再発円錐角膜のリスクファクターや形態的特徴を調べること、③初発、再発含む円錐角膜に関する進行予測のバイオマーカを調べることである。そしてこれらの結果を診療にフィードバックすることで患者の治療に役立てることが最終目標である。 再発円錐角膜のリスクファクターや形態的特徴の研究結果、経上皮法角膜クロスリンキングによる円錐角膜の進行抑制については英文論文にて公表した。円錐角膜の診断に不可欠である角膜形状解析装置、前眼部光干渉断層計(OCT)についての知見や円錐角膜の最終的な外科治療選択肢として重要な全層角膜移植についての知見について、学会発表をした。円錐角膜の視力矯正に不可欠であるハードコンタクトレンズの角膜形状に与える影響について論文発表をした。円錐角膜進行のバイオマーカーの探索のため、角膜検体の解析を実施した。
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