研究課題
病的近視等の長期経過で眼球形態が変形する眼では、現状の技術では、異なる時期に撮影された同一症例の眼底画像を比較解析することができない。本研究の 目的は、3D MRIで得た眼球形状の情報を2次元画像に変換し、眼底写真に投影するための新規画像解析技術を開発することで、眼球変形が眼内部構造に与える影 響を明確にすることである。病的近視眼における同一眼の異なる時期(約25年の経過観察)に撮影された眼底写真を収集した。近年の画像には3D MRIで得た眼 球 形状変形の情報があるので、これを2次元画像(眼底写真)に投影することで、眼球変形の影響を加味した眼底像の画像解析が可能となる。眼球変形が眼内部 構造 に与える臨床的影響を解析する。28年度までに開発し特許出願した新規眼底画像解析技術を用いて眼球変形が眼内部構造に与える臨床的影響を統計学的解 析す る取り組みを行った。解析のために病的近視眼における長期経過における眼底画像や臨床データを収集することで、副次的に様々な知見を得ることができ た。 これらの成果は経過中に国際学会にて報告し、可能なものは国際誌にて報告した。なお、上述した解析ソフトは病的近視眼のみならず、すべての眼において 応 用可能であるため、全眼疾患の経過観察、もしくは眼検診結果の比較解析などに、広範に応用されると考えられる。また、眼底画像の比較解析結果から、病的 近視眼では長期経過により眼球形態が大きく変化し、これにより視神経乳頭形態もまた、大きく変化することが、明確になると予測される。元来、視神経乳頭形 態は先天的にある程度決定されているとする従来の見解を覆す可能性がある。また、視神経乳頭への機械的負荷から失明に至ると考えられる、緑内障や強度近視 眼に合併する緑内障と類似した失明に至る病態である近視性視神経症の病態解明の一助となり得る。現在、論文の投稿に向けて英語論文を執筆中である。
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British Journal of Ophthalmology
巻: bjophthalmol-2021-318970 ページ: 2021-318970
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American Journal of Ophthalmology
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10.1016/j.ajo.2020.11.023