研究課題
若手研究
加齢黄斑変性は遺伝的要因、環境要因、眼球の構造的要因が関係する多因子疾患である。日本人において多数を占める滲出型加齢黄斑変性の一亜型であるポリープ状脈絡膜血管症(PCV)は、高齢者の視力低下の主因のひとつであり、高い再発率が問題となる。今回、患者の遺伝子型の違いによって再発率や治療効果が異なることに着目し、長期治療経過を調査した。その結果、感受性遺伝子のひとつであるARMS2A69S遺伝子のリスク塩基を多く持つ患者で再発率が高いことが明らかとなった。
加齢黄斑変性
今回の結果は、PCVに対する抗血管新生薬併用光線力学的療法後の長期経過においても、ARMS2A69S遺伝子型の違いによって再発率が異なることを明らかにするものである。PCV治療における治療戦略の本質は、いかに再発を抑制し、良好な視力を維持できるかということに尽きる。その点において、本研究の成果は治療開始前に本遺伝子の遺伝子型を測定し、治療戦略を決定する個別化医療の実現に資するものであると考えられる。