研究実績の概要 |
本研究では、それぞれ異なった新規MERTK遺伝子変異をもつ網膜色素変性患者から樹立したiPS-RPEを用いて、患者由来iPS-RPEでの細胞形態、貪食機能、遺伝子・タンパク発現などを健常者由来iPS-RPEと比較することで、病態メカニズムを明らかにし、将来的な治療法開発の礎を築くことを目的とした。1、患者由来iPS細胞ならびに健常者由来iPS細胞を樹立し、iPS-RPE細胞を分化させた。患者由来iPS-RPE細胞と健常者由来iPS-RPE細胞間で、2、形態に差異がないか、電子顕微鏡下で観察した。その結果、両者間で差異は認めなかった。3、遺伝子発現に差異がないか、iPS細胞とiPS-RPE細胞を用いて、qRT-PCRにて主要遺伝子(RPE65, CRALBP, BEST1, MERTK)発現を解析した。その結果、MERTKの発現において、患者由来iPS-RPEと健常者由来iPS-RPEの両者に有意な差を認めた。その他の遺伝子については、未分化iPS細胞とiPS-RPE細胞との間で、患者由来と健常者由来ともに有意な差を認めた。4、iPS-RPEにおいて、タンパク(RPE65, CRALBP, BEST1, MERTK)の発現に差異がないか、ウェスタンブロッティングを用いて確認した。健常者由来のiPS-RPEにはMERTK蛋白の発現がみられ、患者由来のiPS-RPEでは発現がみられなかった。RPE65, CRALBP, BEST1においては、発現がみられ、両者に有意な差はみられなかった。5、吸光度測定により、iPS-RPEの増殖率を測定した。その結果、両者に有意な差は認めなかった。
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