研究課題/領域番号 |
18K16926
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
松宮 亘 神戸大学, 医学研究科, 助教 (30707120)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 実験的脈絡膜血管新生 / 脈絡膜血管形態 / YAP/TAZ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、Hippo経路エフェクターであるYAP(yes-associated protein)/TAZの脈絡膜血管形態および脈絡膜血管新生への役割を明らかにすることである。 初年度に引き続き、絡膜血管新生モデルにおける脈絡膜変化及びHippo経路の役割の解析に取り組んだ。レーザー誘発CNVモデルは、当初C57BL/6Jマウス片眼につき6発の照射(波長532nm、出力200mW、照射時間100ms、スポットサイズ100μm)を行っていたが、時に網膜の強い変性を引き起こしたため、4発の照射に変更し安定した標本が得られた。 CNVモデルを用いたレーザー照射後1週間のC57BL/6Jマウスの網膜脈絡膜凍結切片の評価を行ったところ、照射部の脈絡膜ではYAP (YAP (D8H1X) XP; Rabbit mAb,Cell Signaling Technology, Inc.)の発現が集積していることを確認できた。現在、3,14日後の変化についても調査中である。さらにレーザー照射後7日後に眼球を摘出し、網膜展開標本と脈絡膜展開標本の作成を行った。網膜展開標本においては、網膜脈絡膜凍結切片と同様に照射部近傍のCNV周囲にYAP発現を確認した。脈絡膜展開標本においても、照射部に一致してYAPの発現の集積を確認した。現在、3,14日後の変化についても調査中である。 またCNV面積の評価について、脈絡膜展開標本を作製し概ね明瞭なCNV画像の取得できた。現在、得られた組織について引き続き免疫蛍光染色を行い、解析評価中である。 また蛋白発現評価に用いるWestern blotについても、予備実験は終了している。 血管内皮細胞特異的なLats1/2コンディショナルノックアウトマウス(Lat1/2ΔiECマウス)も近日導入予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度のトラブルの影響でやや遅れているが、概ね順調にすすんでいる。今後、血管内皮細胞特異的なLats1/2コンディショナルノックアウトマウス(Lat1/2ΔiECマウス)の導入や結果解析の進む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
C57BL/6Jマウスのレーザー誘発CNVモデルにおいて、レーザー照射後1週間の評価を行ったところ、照射部の脈絡膜ではYAP 発現が集積していることを確認できた。今後、免疫組織化学的染色にて経時的変化及び定性的・定量的な評価(Western blot, RT-PCR)をすすめていく予定である。Lats1/2コンディショナルノックアウトマウス(Lat1/2ΔiECマウス)の導入し、loss of functionにおける比較評価も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初本年度に血管内皮細胞特異的Lats1/2コンディショナルノックアウトマウス(Lat1/2ΔiECマウス)の導入を予定していたが、レーザー照射後1週間のC57BL/6Jマウスの網膜脈絡膜凍結切片において脈絡膜へのYAP集積を確認し、追加で網膜展開標本や脈絡膜展開標本など免疫組織学的染色を優先して行った。次年度にコンディショナルノックアウトマウスを導入し、差額分を使用する予定である。
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