研究課題
本研究の目的は、Hippo経路エフェクターであるYAP(yes-associated protein)/TAZの脈絡膜血管形態および脈絡膜血管新生への役割を明らかにすることである。前年度にレーザー誘発CNVマウスモデルの網膜脈絡膜凍結切片において、照射部の脈絡膜でYAP (YAP (D8H1X) XP; Rabbit mAb,Cell Signaling Technology, Inc.)の発現が集積していることが確認されことから、本年度は脈絡膜新生血管に対するYAP阻害薬(ベルテポルフィン)の効果の解析に取り組んだ。C57BL/6Jマウスの視神経乳頭周囲にレーザー照射(波長532nm、出力200mW、照射時間100ms、スポットサイズ100μm)を4発施行し、レーザー照射後1週間ベルテポルフィン腹腔内投与(100mg/kg,隔日計4回投与)または偽薬投与を行い、PECAMにて染色し脈絡膜展開標本作成した。光学顕微鏡にて標本を1 micrometerずつ画像撮影を行い、画像ソフトウェア(Image J)を用いて2値化してCNVM面積を測定し、合計することで体積(micronmeter3)を求め、両群のCNVサイズ測定を行った。現在、結果解析中であるが、n=3(CNV)の初期解析ではベルテポルフィン投与群で偽薬投与群の比較においてCNVサイズの有意差は認めなかった(P=0.70)が、CNVサイズのばらつきが大きく(range: 38402-318504)さらなる標本数の蓄積が必要と考えられた。現在、解析用の標本は蓄積されているため、引き続きYAP阻害薬であるベルテポルフィンのCNV抑制効果が期待し、再解析を行っている。またYAPの細胞内局在を同定するためISHHYBEZ Ⅱ HYBRIDZATION SYSTEMによるin situ ハイブリダイゼーション(ISH)も準備を行っている。
4: 遅れている
コロナ禍の影響を受け研究計画は遅れている。血管内皮細胞特異的なLats1/2コンディショナルノックアウトマウス(Lat1/2ΔiECマウス)の導入前に、遂行可能な実験計画を優先し脈絡膜新生血管に対するYAP阻害薬(ベルテポルフィン)の効果の解析を先行させた。現在結果解析中である。
C57BL/6Jマウスのレーザー誘発CNVモデルを用いた、脈絡膜新生血管に対するYAP阻害薬(ベルテポルフィン)の効果の実験は概ね終了し、解析中である。有意な結果が得られた場合、YAPの局在をISHでの同定を試みたい。また引き続きLats1/2コンディショナルノックアウトマウス(Lat1/2ΔiECマウス)の導入し、loss of functionにおける比較評価も行う予定である。
コロナ禍により遂行可能な実験に制限が生じたため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、引き続き研究計画に則り使用予定である。
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Antioxidants (Basel)
巻: 15 ページ: -
10.3390/antiox10030455
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