本研究は自然リンパ球であるMucosal associated invariant T (MAIT)細胞の非感染性ぶどう膜炎への関与を探索することを目的とし、ぶどう膜炎のマウスモデルである実験的自己免疫性ぶどう膜炎(EAU)を用いて解析を行った。まずEAUを誘導した野生型マウスの眼内炎症細胞をフローサイトメトリーにて解析したところ、MAIT細胞が眼内に浸潤してきていることが確認できた。続いてMAIT細胞のぶどう膜炎における機能を解析するため、MAIT細胞を欠損させたマウスにEAUを誘導し眼炎症重症度を評価したところ、野生型マウスと比較して網膜血管炎や網膜滲出斑など眼炎症の有意な増悪が見られた。このことからMAIT細胞はぶどう膜炎において炎症抑制的に作用していることが示唆され、その機序としてMAIT細胞がサイトカインの発現を調節している可能性を考えた。そこでEAUを誘導した野生型マウスとMAIT細胞欠損マウスの眼内液中の炎症性サイトカインであるインターロイキン(IL)-17とIFNgの発現を比較したところ、MAIT細胞欠損マウスにおいてその発現が上昇している傾向が見られた。MAIT細胞がこれら炎症性サイトカインの発現を抑制し炎症を抑制している機序が考えられたため、主要な炎症抑制性サイトカインであるIL-10の発現も解析したが、こちらは両群に有意な発現の差は見られなかった。引き続きMAIT細胞が炎症を抑制する機序についての解析を継続していく。
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