研究実績の概要 |
1)蛍光顕微鏡にてRPEに蓄積するリポフスチンにより発せられる自発蛍光を生後8か月のPrph2Rd2/wt(ヘテロ)マウス、Prph2Rd2/Rd2(ホモ)マウス、Abca4-/-マウス、WTマウスで比較した。蛍光強度は画像処理ソフトのImageJで測定した。ヘテロとAbca4-/-ではホモ、WTよりも有意に蛍光強度が強い事がわかった。高速液体クロマトグラフィー(HPLC法)にてA2Eを生後4か月のヘテロ、ホモ、Abca4-/-、WTで測定した。Abca4-/-はA2Eが最も蓄積しており、ヘテロにおいてもWTと比較すると6倍程度のA2Eが蓄積している事がわかった。ヘテロがABCA4-STGDモデルであるAbca4-/-と同様の結果を示した事により、PRPH2-STGD疾患モデルとなり得る可能性が示唆された。 2)ヘテロにおけるA2Eの蓄積の原因を調べるため、Western blotによって生後4ヶ月のヘテロとWTにおけるABCA4, RDH12と8の発現を調べた。結果はImage Jで定量化した。RDH8の発現はヘテロとWTで同等だったが、ABCA4とRDH12の発現はWTに比べ有意に低下していた。これによって、ヘテロにおいてABCA4とRDH12の発現の低下がA2Eを蓄積させている可能性が示唆された。 3)RDH12の発現低下の原因を調べるため、生後4ヶ月のヘテロとWTにおいて、小胞体ストレスマーカーのBip,Atf4,Chopの発現をqRT-PCRを用いて調べた。Bip,Atf4,Chopの3つ全てのマーカーの発現が、ヘテロにおいて有意に上昇している事が分かった。これにより、変異PRPH2が視細胞内節の小胞体内に蓄積し小胞体ストレスを発生させ、小胞体ストレス応答を引き起こしRDH12の発現を低下させている可能性が示唆された。
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