2018年度内に設置した最新型の偏光感受型前眼部光干渉断層計を使用して、健常ボランティアを撮影し、複屈折断面データにおいてシュレム管周囲が低複屈折に描出されること、シュレム管外壁の強膜が高複屈折に描出されることを確認した。これは既報で『BELL』と表現されている構造物である。また、強膜内には低複屈折の索状物が描出され、解剖学的な特徴から集合管と思われた。つまり、従来型での検査所見と同様の画像が得られ、シュレム管・集合管の描出能は従来型よりも優れていた。また緑内障患者に対し、線維柱帯切開術(トラベクロトミー)前後で撮影を行い、手術で開放されたシュレム管が術前には低複屈折で映っていた組織であることを確認した。さらに、摘出人眼を米国アイバンクから輸入し、同様の観察を行った。眼圧に応じてシュレム管と思しき構造物が形態変化を来たすことを確認した。本研究の目的である「シュレム管・集合管の形態的特徴の解明」について、最新型の偏光感受型前眼部光干渉断層計を用いることで健常眼および緑内障眼のシュレム管・集合管の同定が可能であると思われた。 従来型では手動で画像処理を行ってシュレム管・集合管を強調するように表示していたが、本装置ではそれを半自動化するアプリケーションを開発することに成功した。本アプリケーションを使用すると、シュレム管や線維柱帯の画像化は良好に遂行可能である。一方、集合管については構造が微細であり、今後アプリケーションの改良は必須であり継続していきたい。
|