• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実施状況報告書

メカノセンサーによる眼圧制御メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K16946
研究機関東京大学

研究代表者

木村 麗子 (山岸麗子)  東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (80704642)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードメカノセンサー / 眼圧 / 線維柱帯細胞
研究実績の概要

初代ヒト線維柱帯細胞(HTM)を用いて、TRPVファミリーとPIEZOファミリーのmRNA発現量をreal -time PCR法にて比較した。その結果、PIEZO1が最も高く、続いてTRPV2, TRPV4, TRPV6の順にmRNA発現量が高いことが明らかとなった。このことから、今回ターゲットとしているPIEZO1およびTRPV4はHTMにおいてmRNAレベルでの発現を確認することが出来た。
さらに、PIEZO1およびTRPV4についてHTM細胞へそれぞれ20nM siRNA処理をし、PIEZO1およびTRPV4の遺伝子発現についてreal-time PCR法にて検討した結果、PIEZO1およびTRPV4共に、siRNA処理で30-40%程度までmRNAレベルが有意に低下していることがわかった。このことから、適切なsiRNA処理によりHTM細胞においてPIEZO1およびTRPV4遺伝子をKnock down(KD)させることに成功した。
続いて、上記方法にて得られたsiRNA処理後のHTMに対し、TRPV4およびPiezo1 agonistによる[Ca2+]i上昇について検討した結果、TRPV4およびPiezo1アゴニストによる細胞内[Ca2+]上昇は、それぞれの遺伝子に対するsiRNA処理によって有意に減少していた。つまり、PIEZO1およびTRPV4に対するsiRNA処理により、PIEZO1およびTRPV4のsiRNA処理は機能的にもそれらの作用をKDさせることに成功した。
ここで得られたKD処理済みのHTMを用いて、伸展刺激に対する作用について引き続き検討した結果、30%伸展刺激をKD済みのHTMに与えると、Piezo1 siRNA処理をした場合には[Ca2+]i上昇が抑制されている傾向にあり、TRPV4 siRNA処理をした場合には、normalと差は認められなかった。つまり、伸展刺激にはPIEZO1を介する細胞内[Ca2+]上昇が起こる可能性が示唆された。しかしながら、例数不足であるため、今後検討継続を予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

細胞実験については、伸展刺激装置へチャンバーをセットする必要があるが、セット時にどうしても物理的刺激が入ってしまい、それがデータをばらつかせてしまう原因になることがわかった。そのため、実験条件を極めて均一に保てるような工夫が予想以上に必要となってしまったため、やや遅れが生じていると判断した。
また、高圧負荷刺激時に使用する高圧負荷チャンバーであるが、不具合が生じており修繕困難な状況であるため、高圧負荷によるPIEZO1およびTRPV4の機能解析が出来ず、こちらについてもやや遅れていると判断した。
最後に動物実験についてであるが、TRPV4遺伝子改変マウスの動物繁殖が想定より遅くなっていたが、ここのところ順調に繁殖することができるようになった。しかしながら、眼圧測定には多くの例数が必要となるため、こちらについても総合的にみてやや遅れいてると判断した。

今後の研究の推進方策

HTM細胞実験については、まずは各メカノセンサーのアゴニストが細胞上清中の脂質メディエーター、細胞形態、ゲル収縮実験により、実際にHTM細胞へどのように関与しているかを緑内障にからめて検討していく予定である。
なお、高圧負荷チャンバーについては現状修復困難であり、新規購入となると受注生産品でかなり高額となってしまうことがわかった。そのため、他の方法による高圧負荷試験ができるかを調査し、技術的に難しいようであれば、伸展刺激のみに焦点を絞り、より詳細に検討していくこととした。
また、動物実験については、通常状態の眼圧について野生型マウス(WT)とTRPV4遺伝子改変マウス(TRPV4 KO)で比較検討する予定である。それと同時に、TRPV4アゴニストを投与した場合の眼圧についても、WTとTRPV4 KOで比較する予定である。
そして、動物実験については眼圧のみならず、PIEZO1およびTRPV4のmRNAあるいはタンパク発現について、通常状態と高眼圧時で発現が変化するか、についてもin situ hybridization法や免疫染色法にて検討予定である。

次年度使用額が生じた理由

人件費を申請しているが、該当者がおらず未使用となってしまったため。

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi