研究課題
In vitro実験では、不死化角膜内皮細胞株HCEnCに対してTCF4 intron2のCTGリピートを挟む様なguide RNAを持つCRISPR/Cas9を発現するpX458を用いてリピート切断を行った細胞と切断前の細胞についてT7E1 endonuclease cleavage assayではOff-targetの切断は認められなかった。RNAseqを行い、発現遺伝子の違いを確認した。80repeatのドナーのノックイン実験ではCRISPR/Cas9プラスミドの導入ができた細胞に対してドナーの挿入が認められなかったため、HDR用の60リピートのドナーを作成して、今回はHDRの機序を用いてリピートのノックイン実験を再試行するところである。また、外来のFuchs角膜内皮変性症患者から採取した41人分のDNAに対してSTR assayおよびRepeat primed PCRを行い、TCF4のリピート伸長は8人(19.5%)に認められた。また本邦で多い遺伝子変異を調べることを目的に24名分の全ゲノムシーケンスを行い、リピート伸長についてはCA10が10名、TCF4が2名(STR assay等の結果に一致)、DMPKが2名、ATN1が2名に認められた。また、既報の遺伝子変異としてLOXHD1の変異1名、COL8A2の変異2名に認められた。また、角膜内皮に特異的に発現している遺伝子としてCAGEseq(Yoshihara 2017)の結果および東北メガバンクおよびExacのアレル頻度<0.01、コントロール症例のアレル頻度<0.01で絞り込みを行ったところ8遺伝子18変異に絞り込むことができた。FECDの角膜移植検体3検体と正常角膜6検体の角膜内皮からRNAを抽出し、RIN値が低い検体が含まれるためSMART法によるRNAseqを行った。FECDで有意に発現上昇している遺伝子群のPathway解析よりPI3K-Akt signaling、Focal adhesion、ECM-receptor ineractionに関する遺伝子群の上昇が認められた。動物実験については、CRISPR/Cas9を用いたTCF4のリピート伸長マウスを作成する予定で、ドナーが完成し、これから動物を作成するところである。
2: おおむね順調に進展している
外来患者からのDNAの解析、角膜移植患者からのRNAの解析、セルラインを用いたin vitroのノックアウト、ノックインの研究、動物実験におけるモデル動物作成において4年目の研究計画の2年目としては十分な進捗が得られている。
In vitroでは不死化角膜内皮細胞に対して、TCF4intron2に対して60リピートのドナーを用いてHDRによるノックインを行い、細胞の表現型、細胞増殖曲線、RNAseqによる発現遺伝子について、コントロールおよびノックアウト細胞との比較を行う予定である。動物実験では、CRISPR/Cas9によるTCF4のCTGリピート伸長マウスを作成し、角膜内皮細胞の表現型解析、内皮細胞の遺伝子発現の解析を行う予定である。外来患者のDNA解析、角膜移植患者のRNA解析では引き続き検体数を増やして解析を行う予定である。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
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