上斜筋麻痺に対する僚眼下直筋後転術が上下偏位に与える効果と影響する因子を検討することを目的に研究を行った。30症例全体の下直筋1㎜後転の手術効果は2.9PD/mmで、後天性上斜筋麻痺においては、鼻側移動なし群(3.7PD/mm)があり群 (2.2PD/mm)より手術効果が有意に大きかった。このため、後天性においては下直筋後転および鼻側移動する際は、鼻側移動しない場合より上下偏位の矯正効果が少なくなることを念頭に置いて後転量を決める必要がある。また、先天性上斜筋麻痺に僚眼下直筋後転術を行う際には、手術効果にばらつきを生じる可能性を念頭に置く必要があることが明らかとなった。
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