研究課題
本研究は滲出型加齢黄斑変性(AMD)における脈絡膜新生血管(CNV)の微細な血管構造の変化をOCT angiographyを用いて解析することで、治療反応性や新規治療戦略を模索することを企図した研究である。滲出型AMDに対しては抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬の治療が標準治療となっているが、抗VEGF薬の長期投与におけるCNVへの影響は明らかではなかった。本研究では2年間抗VEGF薬のTreat and Extendレジメに則った治療を継続しても滲出性変化の抑制や視力改善とは関係なくCNVは拡大すること、ベースラインでCNVが小さいほど2年後のCNVの拡大は大きいことを明らかとした。また、滲出型AMDの確定診断はインドシアニングリーン蛍光造影検査を行って診断することがゴールドスタンダードであったが、侵襲を少なくするためにOCT angiographyを用いたAMDの診断法を確立した。さらに、アジア人のAMDの一部を成しているPachychoroid spectrum diseaseに着目し、Pachychodoid spectrum diseaseに使用されている半量光線力学療法(PDT)の作用メカニズムをレーザースペックルフローグラフィーを用いて明らかとした。さらに、Pachychoroid neovascularizationに対するPDT治療により滲出を抑えてもCNVが拡大することを明らかにした。これらの研究からCNVのコントロールと滲出のコントロールは独立した事象であることが示され、今後新たな治療ターゲットを設定する必要性が認識された。
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Graefe's Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology
巻: - ページ: -
10.1007/s00417-023-06030-3
Retina
巻: 43 ページ: 412~419
10.1097/IAE.0000000000003676