研究課題
加齢黄斑変性(AMD)とpachychoroid neovasculopathy(PNV)はいずれも脈絡膜新生血管(CNV)を呈する。これらは遺伝学的に異なることが示されているが、客観的な分類方法が存在しない。昨年度は、教師無し機械学習によって機械的に症例分類を行うことを目的とした検討を実施した。結論として、K-means法によりCNVが機械的に2群に分類され、片群はPNVを表していると考えられた。PNVはCNVの47%を占める可能性があることが分かった。この成果につき学術誌に投稿しているが、未だアクセプトに至っていない。このことから、PNV vs AMDのゲノムワイド関連解析に進むことが出来ていない。一方で、パキコロイド新生血管の発症母体となる中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)に関してゲノムワイド関連解析を実施し、新規疾患感受性遺伝子を新たに2つ特定した。そのうちの一つであるTNFRSF10Aは過去にAMDの疾患感受性遺伝子として特定されていた遺伝子であり、当該遺伝子はAMDよりもCSCとの関連が強かった。上述の我々の結果と合わせて考えると、本邦でAMDと診断されていた疾患のうちの47%がCSC/PNVであったがために、本来CSCの疾患感受性遺伝子であるTNFRSF10Aが、AMDの疾患感受性遺伝子として報告されてきたという可能性を示唆する結果であった。このようにAMDとPNVの関係性の解明は端緒についたばかりであり、今後も継続的にその機序を明らかにしていく必要性がある。次年度以降は、他施設とのゲノムワイドメタ解析や、CSCからのCNV発症に関するゲノムワイド生存解析などを実施する予定である。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Communications Biology
巻: 2 ページ: 0
10.1038/s42003-019-0712-z