研究実績の概要 |
Sprague-Dawley ラットに40nM N-methyl-D-aspartate(NMDA)を1μM硝子体へ投与し、正常眼圧緑内障モデルを作製した。正常眼圧緑内障モデルラットにMT1/MT2アゴニストであるAgomelatine、MT1/MT2アンタゴニストであるLuzindole、コントロールPBSを各群に分けて腹腔内投与し、投与12時間後、1日後、3日後、7日後で網膜を摘出し網膜ホールマウント切片を作成した。正常コントロールラットと正常眼圧緑内障モデルラットでメラトニンレセプターの発現数についてMT1 receptor抗体 ,MT2 receptor抗体にて免疫染色を行った。コントロール群と正常眼圧緑内障モデル群で単位面積当たりの発現数の差はみられなかった。また、網膜神経節細胞のマーカーであるBrn-3a抗体を用いて免疫染色を行い、各群の単位面積当たりの陽性細胞数をカウントした。Agomelatine投与群、Luzindole投与群、コントロールPBS投与群でBrn-3a陽性細胞はAgomelatine投与群でcontrol群と比べやや多い傾向にあり、Luzindole群でやや少ない傾向にあったが、統計学的有意差は見られなかった。また、NMDA投与後12時間後、1日後、3日後、7日後で網膜を採取し、細胞死に関連するCaspase3/7,Caspase8,Caspase9,Bcl-2,Baxの分子変動を検討した。NMDA投与後12時間以降でCaspase3/7,Caspase8,Caspase9,Baxは上昇していたが、コントロール群とAgomelatine、Luzindole投与群との間で有意差を検出することは出来なかった。また、Bcl-2はAgomelatine群で増加、コントロール群、Luzindole群ではAgomelatine群と比べ減少していた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初計画したプロトコールに沿って免疫組織学的検討・アポトーシスマーカーについて解析し検討を行う中で想定しているtime courseよりも早期での分子変動の可能性が示唆された。Caspase3,Caspase8,Baxは当初のプロトコールでのNMDA投与後1日目が最も高値を示し、その後、3日、7日と時間経過とともに減少する結果となったため、NMDA投与1日後よりも早期のtime courseでの検討としてNMDA投与後12時間の時点での検討を従来のプロトコールに加えて検討を行った。それに伴い、生存網膜神経節細胞数についても同時に解析する必要がありプロトコールに追加した。また、既報のプロトコールを参考として網膜神経節細胞の網膜よりの単離を試みているが、難航しており当初の予定よりも研究が遅延していることから上記区分とした。
|