研究実績の概要 |
徐々に視野が狭くなり、それを脳が疑似的に補正するために気付きづらいという特性がある緑内障は、進行し視野狭窄に至れば、仕事や日常生活に支障を来したり、自動車運転では加害の危険性もあり、医学的にも社会的にも治療の意義は大きい。現在の治療法は眼圧下降によるものが中心だが、薬剤が有効でない場合は、様々な手術が必要となる。 眼圧に影響を与える房水の排出経路は、線維柱帯から集合管を通り上強膜静脈に吸収される経路が主たるものと考えられている。最近の知見により、集合管は眼内において360度平均的に分布するのではなく、鼻側に多いことが推測されている。このように房水の流れを理解し、その流れに異常があるのであれば、それを改善することが新たな治療になりうると考えられる。そこで我々はUniversity of California, Los Angeles (UCLA)のAlex Huang医師と協力し、房水流出経路の可視化を行った。結果として、既報にあるように集合管は鼻側に多いことがわかった。また、房水流出が少ない部位においてもistentのような、房水流出を促すデバイスを使うことで、その部位の還流量が増加した。以上の成果を専門誌に報告した。 さらに正常眼圧緑内障モデル動物に対して複数の既存薬を投与し、眼圧以外の要因によって、網膜神経節細胞死を抑制する手法を検討した。これらの成果については、現在データを精査中である。
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