研究課題/領域番号 |
18K16982
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
高清水 一慶 信州大学, 医学部, 助教(特定雇用) (00793019)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 創傷治癒 / ミトコンドリア / 再生 / 移植 / 線維芽細胞 / 細胞治療 |
研究実績の概要 |
正常な機能を有するミトコンドリアを細胞から単離し、創部に移植することで創傷治癒促進効果の有無を調べるため、正常線維芽培養細胞からミトコンドリアを単離する実験系の確立を行った。始めに、正常線維芽培養細胞に存在するミトコンドリアを特異抗体を用いて免疫染色で評価した。比較対象として、ミトコンドリア含有量が多いヒト肝癌由来細胞株HepG2細胞を用いたが、正常繊維芽培養細胞にもミトコンドリアは十分量存在することを確認した。続いて、ミトコンドリアの単離にあたり、必要な正常繊維芽培養細胞の数量とその方法に関する条件検討を行った。遠心分離後の各分画を回収し、細胞内小器官マーカーを用いてWesternblottingで評価した結果、ミトコンドリア濃度の高い分画が得られたことを確認した。また形態的評価として、単離したミトコンドリアを透過型電子顕微鏡で観察し、ほとんどのミトコンドリアにおいて微細構造が保たれていることを確認した。 現在、本研究の実験系確立の最後の評価である機能的評価として、単離ミトコンドリアの膜電位および代謝機能に関する評価を行いつつ、次年度に行うin vitroでの遺伝子発現解析のためにrealtime RT-PCRの実験系確立も行っているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度の研究実施計画は、正常繊維芽培養細胞からのミトコンドリアの単離および形態的・機能的評価の実験系確立であった。正常繊維芽培養細胞からのミトコンドリアの単離および形態的評価に関しては課題を残すものの年度内に終了している。機能的評価に関して、単離における条件検討が多く、年度内に終えることが出来なかった。しかし、次年度に行う予定のin vitroの創傷治癒アッセイと遺伝子発現解析のための実験系の評価も同時に進めており、全体的に評価すると順調に進展していると判断する。
|
今後の研究の推進方策 |
2019年度は、昨年度に終了していない単離したミトコンドリアの機能的評価を行うとともに、in vitroにおける創傷治癒アッセイを行う。創傷治癒アッセイでは、創傷面積治癒率を単離ミトコンドリア投与群と対照群で比較しつつ、その時の遺伝子およびタンパク質発現量変化の解析を行う予定である。その後in vivoでの評価として、難治性病変モデルとして糖尿病マウスを用いて、創を作成し、in vitroでの評価と同じように解析を進めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画より安価に物品を購入したこと、また2018年度に予定していた研究の一部が2019年度に持ち越されるために購入予定であった物品を購入していないため。 2018年度から繰り越された次年度使用額と2019年度に交付される額を合わせた経費で、2019年度の研究を遂行する。
|