研究課題/領域番号 |
18K16988
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
吉田 周平 広島大学, 病院国際リンパ浮腫治療センター, 准教授 (80380921)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 集合リンパ管再生 / リンパ浮腫 / 超微小循環外科 / 加齢性リンパ浮腫 / 肥満性リンパ浮腫 / 創傷治癒 |
研究実績の概要 |
Bio tube鋳型をラット皮下へ埋め込み、4週間後に鋳型周囲に形成されたコラーゲン組織を取り出し高濃度アルコールに浸けて脱細胞化した。 脱細胞化したBiotubeはラットの腹腔内のリンパ管へ吻合する。 Biotubeは0.3mm、ラットの腹腔内リンパ管は0.2mmと口径が大変小さいため特殊な吻合法を一昨年度まで開発し実施した。 実臨床でも十分実施可能であったため実臨床でもリンパ浮腫に対しリンパ管静脈吻合を行い、リンパ浮腫治療に多大な成果をあげるとともに多くの発見を同時に行なった。 一つはリンパ浮腫が創傷治癒阻害因子となることでリンパ管静脈吻合を行うことで創傷治癒を改善させることができるということ。またリンパ浮腫治療には多数 リンパ管静脈吻合を行う必要があり、従来手術用顕微鏡を複数台用いておこなっていたが手術用顕微鏡と手術用ルーペで効率的にリンパ管静脈吻合を量産できる方法を開発した。また従来より加齢によりリンパ管収縮力は低下していくと動物実験では示されていたが今回初めて人間においても加齢によりリンパ管収縮力は低下しリンパ管静脈吻合で改善させうることを発見した。さらに肥満患者においてリンパ浮腫が発症することは言われていたがそのメカニズムについては不明な点が多かった。今回肥満によりリンパ浮腫を発症した患者にリンパ管静脈吻合を行うことで、実際に肥満患者のリンパ管を観察できた。肥満患者のリンパ管は通常よりも著明に拡張しており肥満患者においては全体的なリンパ流量の増加或いはうっ滞が起こっていることを直視下に発見した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ラットの腹腔内リンパ管と吻合したbiotubeの開存率が非常に低い。biotubeをラットの腹腔内リンパ管に吻合するがその後のフォローでbiotubeが開存していない。直後の開存率はほぼ100%であるがその後フォローでリンパ管の開存が確認できていない。恐らくbiotubeがコラーゲン性であるため術後の狭窄が起こりやすいためであると考える。動脈など内圧が強くかかっている脈管ではコラーゲンの収縮力が内圧と拮抗して開存や内圧によるtubeの破損を防いでいると考えるが、リンパ流のように流量が少ない脈菅ではコラーゲンの収縮力が勝って狭窄してしまうことが考えられる。Bio tubeの集合リンパ管再生については実際は閉塞が起こり実現は困難な見通しではあるが本実験で得られた超微小循環外科技術の確立でリンパ浮腫の臨床での大きな成果を得た。 具体的はリンパ浮腫が創傷治癒阻害因子となることでリンパ管静脈吻合を行うことで創傷治癒を改善させることができるということ。またリンパ浮腫治療には多数リンパ管静脈吻合を行う必要があり、従来手術用顕微鏡を複数台用いておこなっていたが手術用顕微鏡と手術用ルーペで効率的にリンパ管静脈吻合を量産できる方法を開発した。また従来より加齢によりリンパ管収縮力は低下していくと動物実験では示されていたが今回初めて人間においても加齢によりリンパ管収縮力は低下し加齢性リンパ浮腫となりうること、リンパ管静脈吻合で改善させうることを発見した。さらに肥満患者においてリンパ浮腫が発症することは言われていたがそのメカニズムについては不明な点が多かった。今回肥満によりリンパ浮腫を発症した患者にリンパ管静脈吻合を行うことで、実際に肥満患者のリンパ管を観察できた。肥満性リンパ管は通常よりも著明に拡張しており肥満患者においては全体的なリンパ流量の増加或いはうっ滞が起こっていることを直視下に発見した。
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今後の研究の推進方策 |
biotubeでの集合リンパ管再生については実際は閉塞が起こり実現は困難な見通しではあるが今後も研究を継続するが主たる研究は臨床での治療法開発にシフトしていくことになる。一つは今回継続した研究でリンパ浮腫と静脈不全は非常に近い関係にありお互いに作用しあっていることが判明した。実際、臨床では静脈不全とリンパ流うっ滞を併発している患者に頻繁に遭遇する。この患者に対する具体的かつ積極的な治療法はまだなく今後はこうしたリンパ浮腫と静脈不全が併発した患者に対する治療法の開発を行っていく。また進行したリンパ浮腫で患肢の増大が著しい場合の組織減量は現在の超微小循環外科での治療のみでは満足できる成果はまだ得られておらず今後は組織減量術とリンパ管再生療法を組み合わせた治療法の確立を考えている。
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