ヒト皮膚微小リンパ管内皮細胞(HLEC)及び皮膚悪性黒色腫由来の癌関連線維芽細胞(CAF)を用いて各種実験を行った。HLECにCAFおよび悪性黒色腫から採取した上清を加えて培養したCAFから得た培養上清を加えた群 (eCAF群)を準備し、対照群と比較した。HLECの増殖能に対する影響を調べるためにMTTアッセイ、tube formationアッセイを行った。MTTアッセイにおいては、CAF群、対照群と比較して MMCAF群で有意に増殖能が高いとの結果が得られた。tube formationアッセイにおいては、対照群と比較してCAF群で有意にリンパ管新生が促進している結果となった。 以上より、腫瘍細胞の影響下にあるCAFの上清にはHLECの増殖を促進するサイトカインが含まれている可能性が示唆された。 引き続きCAFおよびeCAFの上清を用いてサイトカインアレイを行った。2種のCAF(CAF1、CAF2)、eCAF (eCAF1、eCAF2)の上清をそれぞれサイトカインアレイで評価し、CAF1とeCAF1の間で発現に有意差があったサイトカイン、同じくCAF2とeCAF2の間で発現に有意差があったサイトカインがCCL2、IL-8、CXCL10の3種類であった。3種のサイトカインについて、リンパ管内皮細胞に種々の濃度で添加して増殖が促進されるかどうかを確認したが、有意な増殖促進は見られなかった。 他の候補が存在せず、リンパ管内皮細胞増殖を促進させる可能性のあるサイトカインは同定できなかった。
|