研究課題/領域番号 |
18K17004
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
中道 美保 東邦大学, 医学部, 助教 (70804178)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Fibrocyte / in vitro study / bFGF / コラーゲンゲル培養 |
研究実績の概要 |
受傷臓器の修復過程で一過性に形成される肉芽組織は一部が骨髄由来の間葉系細胞から構成されているが,骨髄由来間葉系細胞の機能や由来は不明な点が多い.中でも組織修復において出現する線維芽細胞の由来は長年不明であったが,近年一部の線維芽細胞は骨髄細胞由来であることが判明しFibrocyteと名付けられた.FibrocyteはFibroblastとLeukocyteの両方の特徴を持ち,白血球抗原と細胞外基質マーカーの二重染色で同定される細胞の総称である. これまで我々の研究では,in vivoの実験系において,組織修復過程におけるbFGF投与後のラット皮膚肉芽組織をCD34とProcollagen1の蛍光二重染色を行うと両者が共発現しているFibrocyteが同定された.このFibrocyteは薄い壁を有する管腔様構造を作り,その中に赤血球が確認でたことから新生された毛細血管であると考えられた.即ち,bFGFにより集積したCD34+/procollagenⅠ+fibrocyteが血管内皮様構造を形成し,血管新生に関与していることをin vivoの実験系で証明した. 本研究ではbFGFによるFibrocyte誘導と血管様構造の誘導をin vitroで実証するため,創部の肉芽組織をコラーゲンゲル3次元細胞培養し検討した.この結果bFGFによる管腔様構造形成,CD34 mRNA発現増加,蛍光二重染色でのFibrocyte増加がin vitroで証明されつつある.従来,2次元培養でのみ解析されてきたFibrocyteであるが,今回3次元培養によりbFGFの関与による血管様構造の誘導がin vitroで実証されつつある.同培養法は,in vitroでFibrocyteの血管新性能を解析するのに有効と考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitroにおけるFibrocyteの発現解析を行うために,コラーゲンゲルを用いた三次元培養の実験系を確立した.具体的には,ラット背部に作成した全層性皮膚欠損創から修復組織を採取し,これをコラーゲンゲルに移植して培養することに成功した.また培養された組織では,Fibrocyteの増殖と血管様構造の新生が確認できた.以上より研究はおおむね順調に進行していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最大の課題であるin vitro系でのFibrocyteの解析はおおむね順調に進んでいるが,今後は,in vitroにおけるFibrocyteとbFGFの関連性をさらに検索する必要がる.具体的には,血管増殖因子であるVEGF投与時のとの比較検討や,CD31,Podplaninなど類似の管腔様構造形成因子 についても解析が必要である.最終的には,Fibrocyte移植による新規の血管新生療法のため,最適な培養法の確立を行い,CD34+/procollagenⅠ+fibrocyteを ラット皮膚潰瘍へ移植し,血管新生能や組織修復能の変化を観察する.
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次年度使用額が生じた理由 |
前述したように研究は概ね良好に進んでいるが,今後,bFGFとFibrocyteの関係性をより詳細に解析するために,real time PCRに用いるプライマーや免疫二重染色に使用する特殊抗体などある程度高価な複数の実験試薬を購入する必要がある.そのため,助成金の一部を次年度の繰り越すこととした.
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