研究課題/領域番号 |
18K17007
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
大槻 祐喜 大阪医科大学, 医学部, 講師 (70631969)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | W9 / 脂肪由来幹細胞 / ラット / マウス / 骨再生 / 骨欠損 |
研究実績の概要 |
形成外科領域において骨欠損部に対する骨移植術は慣れ親しんだ術式であるが、骨を採取したドナー部の疼痛などが問題となる。近年組織工学的な技術を駆使し、骨の再生医療を開発する報告がなされている。幹細胞を骨分化させて骨欠損部の治療に用いる再生医療が実現できれば、ドナーの犠牲が少なくなり、患者の手術での苦痛は大きく軽減される。現在臨床的には同様の目的としてBMP2が用いられており、その骨分化能力は臨床現場でも確認されているが、その一方で炎症反応が強く出る場合があるという意見もあり、臨床的な合併症の報告も散見されている。また幹細胞としても従来骨分化に対してよく用いられてきた骨髄幹細胞よりも比較的に大量に安全に抽出できる脂肪幹細胞を用いることにより、より安全で簡便な治療の開発を目指している。今回我々は脂肪由来幹細胞にW9ペプチドと呼ばれる非常に強い骨誘導作用を持つ薬剤を組み合わせることにより、骨欠損部に対する新たな治療手段を開発することを目的として本研究を行う。W9ペプチドは以前は破骨細胞の分化抑制を中心に注目されていた薬剤であるが、近年は直接的な骨分化作用を持つことが指摘されている。本年度は血管柄付き人工骨弁作成のためのラットの鼠径部の解剖の習熟及び血管剥離、血管吻合操作の精度向上のため及び人工骨弁のため手術操作の精度向上のための予備実験、また来年度以降にかかわる研究環境の整備を行った。来年度以降はラットもしくはマウスの頭蓋骨に欠損を作りその部位に脂肪幹細胞およびW9ペプチドの移植実験を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は計画をすこし変更したが、in vivo実験のため予備実験を行った。特に現在のところは問題なく研究が進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はラット、マウスの頭蓋骨欠損部へ脂肪幹細胞・W9の移植を行い、BMP2との比較などを進めていく予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はまず人工骨皮弁開発のための血管吻合や手術手技の精度向上のための実験を前倒しをして行ったが、逆に薬剤が必要な基礎実験を次年度に行う予定としている。そのため薬剤購入などが次年度にずれこんでいるため差額が生じている。
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