食物の摂取時には、咀嚼筋は力を発揮し顎骨はその力を受ける。強い咀嚼力は顎骨や咀嚼筋を強化するが、そのメカニズムには不明な点が多い。そこで、咀嚼運動による力学刺激下で機能し、筋や骨を強化する分子の探索に取り組んだ。 マウスに高硬度飼料を与えて咀嚼を強化するモデルを作出・解析したところ、咬筋が肥大し、顎骨形態が変化した。このとき、顎骨の骨細胞でIGF-1発現が上昇していた。IGF-1は腱細胞の骨芽細胞への分化を誘導した。また、咬筋ではIGF-1受容体の発現が増加していた。以上より、咀嚼力が顎骨骨細胞におけるIGF-1産生を増加させ、これが顎骨や咀嚼筋を強化すると考えられる。
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