研究課題/領域番号 |
18K17028
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
多田 彩乃 香川大学, 医学部, 助教 (80779463)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | フソバクテリウム / 共凝集 / 外膜タンパク質 / バイオフィルム / 菌叢解析 / 歯周病 |
研究実績の概要 |
Fusobacterium nucleatumは口腔バイオフィルム形成に重要な役割を果たしており、複数の共凝集因子を保有しているが全容解明には至っていない。本研究では、F. nucleatum ATCC25586株の外膜タンパク質であるfadAおよび抗FadA抗体を精製し標識することでF. nucleatumと共凝集する口腔細菌および共凝集因子を同定することを目的としている。 まず、FadAタンパク質のC末端に6xHisタグが付与されるように、fadA増幅産物をpET-28b (+)にクローニングした。作製したプラスミドを大腸菌BL21に導入し、fadA遺伝子の発現を1 mMのIPTGにより誘導した。この発現タンパク質をコバルトレジンカラムで精製し、精製FadAタンパク質で4回ウサギを免疫して4週間後に全血採血を行い、血清を分離した。分離血清からProtein Gカラムを用いてIgG分画を精製した。また、Pull-downアッセイが正常に機能するかどうかを確認するためにF. nucleatumと高率に共凝集する口腔細菌を検索した。F. nucleatumは初期定着細菌であるActinomyces naeslundiiと強固に凝集し、Streptococcus属との共凝集では逆に凝集が阻害されることが明らかとなった。今後、A. naeslundiiとF. nucleatumとの混合菌液を用いてPull-downアッセイを行い、システムの検証を行う。効率的な口腔バイオフィルムの形成抑制や除去方法の確立には、F. nucleatumの共凝集作用によって形成される微生物コンソーシアムの解明と共凝集因子の網羅的解析などの基礎的なデータが必要であり、インフォームドコンセントを得た健康成人から採取した歯肉縁下プラークを用いてF. nucleatumと共凝集する口腔細菌を網羅的に同定する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Pull-downアッセイに使用する外膜タンパク質であるFadAのポリクローナル抗体の作製が成功し、F. nucleatumが共凝集するプラーク内細菌への網羅的解析を行う準備ができたため。
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今後の研究の推進方策 |
外膜タンパク質であるFadAのポリクローナル抗体を用いて蛍光標識したF. nucleatumと共凝集する口腔細菌を回収する。これらの細菌群から抽出したDNAを用いてメタ16S rDNA解析を行い、どのような細菌群がF. nucleatumと共凝集しているのか明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
無駄なく計画的に必要な物品を購入したため次年度使用額が生じたが、次年度の消耗品購入に有効活用する。
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