研究課題/領域番号 |
18K17032
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
向坊 太郎 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (50635117)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 唾石症 / 唾液腺 / Oxalate / シュウ酸 / Slc26a6 |
研究実績の概要 |
唾石症は幅広い年齢に比較的高頻度に発症し、根本的な原因が不明な疾患である。小児における再発性の唾石症の報告もあることから、唾液分泌のメカニズムに関わるタンパクの関与が疑われる。申請者はこれまでにノックアウトマウスを用いた動物実験から顎下腺腺房細胞基底側に発現するSlc26a6がCl/Oxalate交換輸送機能を有し、Oxalate(シュウ酸)の唾液中への分泌に関与することを示した。唾石の成分の大部分はリン酸カルシウムであることが分かっているが、シュウ酸カルシウムが一部成分を占めることが報告されており、その極端に低い溶解度から唾石の初期形成に関わっている可能性があると考えられる。本研究課題ではSlc26a6ノックアウトマウスを使用し、シュウ酸の長期経口摂取が唾液中へのシュウ酸分泌に与える影響、および唾石形成との関連について調査を行うことを目的とするものである。 当初Slc26a6ノックアウトマウスの輸入により本研究を進める予定であったが、体外受精による生体復元を試みるも不成功となった。そこで唾石形成には唾液腺の炎症との関連も指摘されていることから、LPSの腹腔内投与による舌下腺への炎症とムチン分泌との関連に焦点を当て実験を続ける予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Slc26a6ノックアウトマウスの輸入のためのMTA(MaterialTransferAgreement)を米国の大学との間で締結したが、飼育施設のヘルスレポートの結果から一部当大学動物実験施設の受入条件を満たさず生体での輸入を断念せざるを得なかった。そこで米国内でノックアウトマウスの凍結精子作成を依頼し、ドライシッパーによる精子輸入と精子凍結を行なった。体外受精による生体復元を試みるも保存状態が不完全であったためか不成功となった。 このためFVB/Nj(Wild type)マウスに対し0.1, 1, 10, 100mg/Kgシュウ酸の2週間の経口投与による唾石形成を確認する実験を行っているものの、シュウ酸カルシウムが生体にとって致死的であることから生存率が30%と実験継続が困難となった。 唾石形成には唾液腺の炎症との関連も指摘されていることから、現在LPSの腹腔内投与とムチン分泌との関連に焦点を当て実験を続けている。
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今後の研究の推進方策 |
唾石形成には唾液腺の炎症との関連も指摘されていることから、今後Wild typeマウスに対しLPSの腹腔内投与を行い、舌下腺のムチン分泌と、関連する遺伝子発現について調査する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初COVID-19感染拡大により延期となった国際学会への参加を予定していたが中止となった。このため今年度BostonでWeb上開催される2021 IADR/AADR/CADR GENERAL SESSION & EXHIBITIONの参加費として使用する予定である。
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