研究課題
本研究計画では,バイオセラミクスとしてβ―TCPナノ粒子を用い,ヒトコラーゲンペプチド顆粒にβ―TCPナノ粒子を添加した新規足場材を作製し,歯周組織再生に最適化した条件の検討と,歯周再生治療へ展開することを目的としている.今年度の目標として,β―TCPナノ粒子配合ヒトコラーゲンペプチド足場材の作製とそれにZnを担持させた足場材の作製,また,それらの物性評価ならびに細菌を用いた抗菌性試験,培養細胞を用いた生体親和性試験,バイオアクティブ効果に関する生化学的評価を上げていた.β―TCPナノ粒子配合ヒトコラーゲンペプチド足場材は作製され,β―TCPナノ粒子の濃度を0.001~10wt%まで設定し,生体親和性評価を行った.評価より,細胞のバイオアクティブ効果を向上させ,骨新生効果が期待できるβ―TCPナノ粒子の至適濃度は1wt%と設定された.また,Znをβ―TCPナノ粒子に担持し,Zn担持型β―TCPナノ粒子分散液を開発し,抗菌性を付与した新規足場材の作製にも成功した.Zn担持型β―TCPナノ粒子配合ヒトコラーゲンペプチド足場材のZn濃度を振って,虫歯菌であるS.Mutansで抗菌性試験をおこなったところ,Zn1%で有意に高い細菌増殖抑制を示した.以上より,新規足場材の歯周組織再生に最適化した条件の検討の結果,TCP1%,Zn1%が有効である可能性が示唆された.来年度はこの結果をもとに,細胞親和性評価およびラット・ビーグル犬を用いた評価に移行する予定である.
2: おおむね順調に進展している
β-TCPナノ粒子配合ヒトコラーゲンペプチド足場材の作製,それへのZnの担持は良好に進んだ.β-TCPナノ粒子やZnの至適濃度の評価もおおむね順調に進んでおり,今後動物実験へ移行する予定である.
Zn担持型β-TCPナノ粒子配合ヒトコラーゲンペプチド足場材は作製されたので,in vitroでのスクリーニング評価を強化し,Zn,TCPの至適濃度を設定,ラットやビーグル犬での評価へ移行する.
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International Journal of Nanomedicine
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