研究課題/領域番号 |
18K17038
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
西田 絵利香 北海道大学, 大学病院, 医員 (50779882)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | β-TCPナノ粒子 / Zn / ヒトコラーゲンペプチド / 歯周組織再生 / 骨新生 |
研究実績の概要 |
本研究計画では,バイオセラミクスとしてβ―TCPナノ粒子を用い,ヒトコラーゲンペプチド顆粒にβ―TCPナノ粒子を添加した新規足場材を作製し,歯周組織再生に最適化した条件の検討と,歯周再生治療へ展開することを目的としている. 今年度の目標として,β―TCPナノ粒子配合ヒトコラーゲンペプチド足場材およびそれにZnを担持させた足場材を作製し,それらの物性評価ならびにin vitro評価,バイオアクティブ効果に関する生化学的評価を上げていた. β―TCPナノ粒子配合ヒトコラーゲンペプチド足場材は作製され,β―TCPナノ粒子の濃度を0.001~10wt%まで設定し,生体親和性評価を行った.評価より,細胞のバイオアクティブ効果を向上させ,骨新生効果が期待できるβ―TCPナノ粒子の至適濃度は1wt%と設定された. また,Znをβ―TCPナノ粒子に担持し,Zn担持型β―TCPナノ粒子分散液を開発し,抗菌性を付与した新規足場材の作製にも成功した.Zn担持型β― TCPナノ粒子配合ヒトコラーゲンペプチド足場材のZn濃度を振って,虫歯菌であるS.Mutansで抗菌性試験をおこなったところ,Zn1%で有意に高い細菌増殖抑制を示した. 以上より,新規足場材の歯周組織再生に最適化した条件の検討の結果,TCP1%,Zn1%が有効である可能性が示唆された.この結果をもとに,細胞親和性評価およびラット・ビーグル犬を用いた評価をさらに進める予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
in vitro評価は問題なく進んだが,人材不足で動物実験が当初の予定よりは遅れている. 今年度もコロナの影響で遅延があると予想されるが,予定の遂行を目標に進める.
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今後の研究の推進方策 |
Zn担持型β-TCPナノ粒子配合ヒトコラーゲンペプチド足場材を作製し,in vitro評価で至適濃度の確立を行ったので,動物実験での評価に力を入れる.
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月に学会参加予定だったが,新型コロナウィルスの影響で学会開催されず,旅費で計上していたが,使用できなかった. また,実験にも影響がでており,試薬などの納品が延期になったため. 次年度は前年度までで進んでいたラット,イヌの標本を用いて評価を進め,実験再開できるようになれば速やかに実行する予定であり,最終的な計画予定には影響ないと考える.
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