研究課題/領域番号 |
18K17039
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
田澤 建人 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (30801518)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | TRPA1 / ヒト歯髄細胞 |
研究実績の概要 |
1.深在性う蝕を有する歯髄および健全歯髄の凍結切片を用いてTRPA1免疫染色を行い、深在性う蝕を有する歯髄細胞においてはTRPA1発現が増加していることを確認した。 2.in vitroのヒト歯髄細胞において炎症刺激によるTRPA1チャネルの発現上昇メカニズムの解析を行った。LPS刺激によってヒト歯髄細胞におけるTRPA1発現は誘導された。これまでに、NFkB経路の活性化やHIF1aの活性化によりTRPA1発現が誘導されたとの報告があるが、NFkB阻害薬を添加してもTRPA1発現誘導は阻害されず、HIF1aの過剰発現を行ってもTRPA1発現は誘導ず、NFkBおよびHIF1aはTRPA1発現を誘導しなかった。その他のTRPA1発現経路としてP38MAPキナーゼ、NOを介する経路を検討したところ、P38MAPキナーゼの阻害薬および、iNOS酵素の阻害薬によりLPS刺激によるTRPチャネルの発現誘導が阻害された。 3.ヒト歯髄細胞におけるTRPA1発現の機能的意義について解析を行った。まず、TRPA1作動薬によりヒト歯髄細胞内にカルシウムイオンの流入を認め、ヒト歯髄細胞においてもTRPA1が機能的に発現していることを確認した。TRPA1作動薬添加により、ERKシグナルが活性化し、象牙芽細胞関連遺伝子の発現が上昇することを認めた。 4.炎症刺激による歯髄応答を確認するためにラット臼歯に窩洞形成を行い、歯髄の細胞動態を観察した。主にマクロファージの動態を確認するために抗体としてED1、ED2、OX6、LYVE1を用いて免疫染色を行った。ラット臼歯に存在するマクロファージの大部分がED2陽性LYVE1陽性であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度に予定していた、炎症刺激によるTRPA1発現経路解析についてはおおむね予定通り計画を遂行することができている。現在は、P38MAPキナーゼおよびiNOSの下流シグナルのうちTRPA1発現を誘導する転写調節因子について解析を進めている。 次年度の計画であったヒト歯髄細胞におけるTRPA1発現の生物学的意義について解析を行い、一部既にデータを得られている、
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今後の研究の推進方策 |
TRPA1発現経路解析についてはP38MAPキナーゼおよびiNOSの下流シグナルのうちTRPA1発現を誘導する転写調節因子の同定を行う予定である。またTRPA1の生物学的意義においては計画通りTRPA1発現誘導により発現増加するタンパクについて解析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に購入を予定していたトランスフェクション試薬やベクター購入が平成30年度にずれ込んだため使用額と予定額に差が生じた。 これらは平成31年度に計画した物品購入のため使用予定である。
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