研究課題/領域番号 |
18K17044
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
北川 晴朗 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (50736246)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 抗菌性 / イオン徐放 / バイオアクティブガラス / 根面う蝕 / 歯学 |
研究実績の概要 |
本年度は、まず、酸性および中性溶液中での亜鉛含有ガラス粒子からの亜鉛イオン溶出性を評価するため、40 mgの亜鉛含有ガラス粒子を300μLの蒸留水(pH7.0)あるいは酢酸溶液(pH4.5またはpH5.5)に浸漬し、24時間経過後、溶出した亜鉛イオン濃度を測定した。その結果、pH4.5およびpH5.5の酢酸溶液中での亜鉛イオンの溶出濃度は、蒸留水中に比べて高い値を示すことが確認された。また、pH4.5の酢酸溶液中での溶出濃度は、pH5.5の酢酸溶液中に比べて高くなることが分かった。 次に、亜鉛含有ガラス粒子をpH4.5またはpH5.5の酢酸溶液に1日、さらに蒸留水に3日間浸漬し、この行程を3回繰り返しながら計10日間の亜鉛イオンの溶出濃度を測定した。酢酸溶液に浸漬した1、5、および9日目の亜鉛イオンの溶出濃度はいずれも蒸留水中での溶出濃度よりも高く、また、pH4.5の酢酸溶液中での溶出濃度はpH5.5に比べて高い値を示した。さらに、酸性溶液に浸漬した1、5、および9日目の亜鉛イオンの溶出濃度はStreptococcus mutansに対する最小発育阻止濃度(MIC)よりも高くなることが確認された。 つづいて、亜鉛含有ガラス粒子を市販グラスアイオノマーセメントであるFuji Ⅶ(ジーシー)に配合した硬化セメントを作製し、上述の方法と同様にして、作製した硬化試料をpH4.5の酢酸溶液および蒸留水に浸漬して計10日間亜鉛イオン濃度を測定し、硬化セメントからの亜鉛イオン溶出性を評価した。その結果、亜鉛含有ガラス粒子そのものからの亜鉛イオンの溶出挙動と同様に、試作セメントにおいても酢酸溶液中での亜鉛イオンの溶出濃度は蒸留水中に比べて高くなることが確認された。さらに、セメント硬化体を用いた場合においても、酸性溶液に浸漬した際の亜鉛イオンの溶出濃度はS. mutansに対するMICよりも高い値を示すことが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度の研究実施計画に則り、亜鉛含有ガラス粒子、および亜鉛含有ガラス粒子配合試作セメントからの亜鉛イオン溶出性の評価を行って、前述のような結果を得た。 以上のことから本研究の進捗は、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度に得られた結果に基づいて、亜鉛含有ガラス粒子配合試作セメントの物性の評価、リチャージ特性の評価、および抗菌効果の評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
上述のように、本年度は、当初予定していた亜鉛含有ガラス粒子配合試作セメントの亜鉛イオン溶出性の評価実験に加え、亜鉛含有ガラス粒子そのもののイオン溶出性を評価する試験を実施し、イオン溶出性に関して当初の計画以上に多くの知見を得ることができた。しかし、当初予定していた試作セメントの物性に関する評価試験を実施することができなかったため、それに係る消耗品を平成30年度に購入しなかったため。
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