研究課題
本年度の研究ではSemaphorin7a(Sema7a)がヒト歯根膜細胞(HPDL)の細胞機能(増殖能、遊走能、硬組織形成細胞への分化能)にいかなる影響を与えるかについて解析を行った。まず、Sema7aがHPDLの増殖能に及ぼす影響について解析を行った。すなわち、96wellマルチプレートにHPDLを播種し、リコンビナントSema7aで48時間刺激を行い、Premix WST-1 cell proliferation assay systemを用いて解析を行った。その結果、非投与群と比較して、リコンビナントSema7a投与群ではHPDLの有意な細胞増殖を認めた。また、Sema7aがHPDLの遊走能に及ぼす影響について解析を行った。すなわち、12wellマルチプレートにWound healing assayのインサートを設置した後にHPDLを播種し、リコンビナントSema7aで24時間刺激を行い、クリスタルバイオレット染色により評価を行った。その結果、非投与群と比較して、リコンビナントSema7a投与群でHPDLの遊走について顕著な差は認めなかった。次に、Sema7aがHPDLの硬組織形成細胞への分化能に及ぼす影響について解析を行った。すなわち、HPDLの硬組織形成細胞への分化誘導時にリコンビナントSema7aを添加し、培養14日後の硬組織形成関連遺伝子の発現について解析を行った。その結果、非投与群と比較して、リコンビナントSema7a投与群でHPDLの硬組織形成関連遺伝子であるALP、COL1A1、OCの発現上昇を認めた。この結果より、Semaphorin7a がHPDLの硬組織形成細胞への分化を促進する可能性が示唆された。本年度の研究結果から、Semaphorin7aが歯根膜細胞の細胞機能制御の一端を担っていることが明らかとなった。
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