研究課題/領域番号 |
18K17052
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 麗 九州大学, 大学病院, 助教 (50734993)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 歯周炎 / アメロジェニン / マクロファージ / 抗原提示 |
研究実績の概要 |
エナメル基質タンパク質(enamel matrix derivative: EMD)は歯周組織再生治療において良好な臨床成績が報告されている。申請者らはこれまで、EMDの主成分であるアメロジェニンが組織治癒を促進するM2マクロファージの分化を誘導することで炎症反応の収束に関与すること、また単球へのアメロジェニン刺激における遺伝子発現変動をマイクロアレイで解析した結果、抗原提示関連遺伝子の発現が減少することを報告した。しかしながら、アメロジェニンの自然免疫制御機構に関しては未だに不明な点が多い。本研究では、歯周組織再生に果たすアメロジェニンの免疫細胞を起点とした炎症制御に着目し、アメロジェニンがマクロファージ本来の重要な機能である抗原提示能へ及ぼす影響及びその作用メカニズムを解明することを目的とした。 本年度は、アメロジェニン前処理刺激がMHC IIの細胞表面発現およびmRNA発現を抑制しすることを明らかにした。また、その作用機序の解明として、まずアメロジェニン前処理刺激がIFNγ受容体下流のシグナル伝達経路へ及ぼす影響を、ウエスタンブロッティング法を用いて行った。その結果、アメロジェニン前処理刺激はIFNγ刺激後のJAK/STAT経路におけるJAKおよびSTATのリン酸化活性やIFN制御因子であるIRF-1の活性化に影響を与えなかった。しかしながら、MHCII分子の転写活性化因子であるMHC IIトランス活性化因子(CIITA)のmRNA発現およびタンパク質発現はアメロジェニン前処理刺激によって抑制された。つまり、アメロジェニン前処理刺激がCIITAの発現を制御することで、結果としてMHCⅡの細胞表面発現が抑制される可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたアメロジェニンの抗原提示能への影響についての解析が前進したと考え、上記の区分と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
以下の研究を推進する予定である。 1、MHCII分子の転写活性化因子であるCIITAの発現抑制メカニズムの一つとしてヒストン修飾によるクロマチン構造変換に焦点を当てクロマチン免疫沈降法を行う。 2、アメロジェニン刺激によるMHCII発現抑制がT細胞活性へ及ぼす影響を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 計画していた実験が難航し、当初予定していた試薬等の購入を保留しているため。 (使用計画) 引き続き、実験は継続して行っているため、次年度に必要な試薬等を購入する予定としている。
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