研究課題
これまで、エナメル基質タンパク質(Enamel matrix derivative:EMD)の主成分であるアメロジェニンがマクロファージの抗原提示へ及ぼす影響とそのメカニズ ムの解明を目的として研究を行った。その結果、マクロファージをアメロジェニン前処理刺激することで、MHCII発現が抑制され、そのシグナル伝達経路を調べたところ、CIITA (Class II Major Histocompatibility Complex Transactivator) を抑制していることを確認し、さらにアメロジェニンはマクロファージのCIITAプロモーター領域のヒストン修飾を介して、CIITAの発現を制御している可能性が示唆された。本年度は引き続きそのメカニズムの探索を行った。その結果、H3K27acおよびH3K4me3を抑制したが、 H3K9me3およびH3K27me3には影響がなかった。さらに、アメリジェニン刺激のみでの影響も確認したところ、アメロジェニン刺激を行うことでH3K27acおよびH3K4me3が抑制されることが確認できた。さらにT細胞活性も抑制することが確認できたため、今回の研究でアメロジェニンは早期にマクロファージ核内のクロマチン構造を変換し、ユークロマチン化を抑制することでCIITAプロモーターIV領域の転写・翻訳を阻害し、MHC II分子の細胞表面発現やヘルパーT細胞の活性を抑制することで炎症を抑えていることを解明した。また、カルシウムイメージングによるカルシウムシグナルの状態を測定し細胞活動の状況を探索したが、今回、有意な変化は確認できなかった。
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Frontiers in Immunology
巻: 11 ページ: 709
10.3389/fimmu.2020.00709