研究課題/領域番号 |
18K17053
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
藤元 政考 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (80806547)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 歯科 / 根管 / 内視鏡 |
研究実績の概要 |
歯科用顕微鏡やコーンビームCT(CBCT)が導入された現在の歯科医療においても盲目的治療とならざるを得ない治療対象がある。最も遭遇する例として歯内治療 時の根管内深部や歯周ポケット深部があり、歯科用顕微鏡やコーンビームCTを用いても根尖部の破折や側枝といった微細構造は確認できない。現在、歯科用内視 鏡も複数存在するがその解像能は低く臨床使用に耐えない。また観察できたとしても微細構造の位置を三次元的に把握することは不可能である。本研究では、観 察対象を異なる角度から撮影した2種類の内視鏡画像の視差を利用することで観察対象の形状を計測しライブで三次元的なデジタル立体構造を再現する双眼の超 小型内視鏡システムを開発することを目的としている。 今年度は前年度検討した材料を元にシステムの試作を行った。内視鏡の画像伝送のためにイメージファイバを使用した。先端には屈折率分布型レンズという円筒形のレンズを紫外線硬化型接着剤にてファイバ端面に接着した。試作に当たってファイバとレンズの光軸を合わせるのが困難であり製作上の課題となった。ファイバとレンズの複合部品は1つのパイプ内に複数の管腔構造をもつパイプを使用して製作を考えている。1本あたりのパイプ内径が非常に細いため加工に高い精度を要する。また、構成要素同士の接着の際に、接着剤の厚みが大きくなる分内視鏡全体の直径が大きくならざるを得ないことも現状の課題となっている。今後は接着剤の厚みを減少させ根管内への挿入が容易となるようなプローブの開発を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度にシステムの大まかな構成を検討し、その材料の選定を行った。双眼内視鏡の画像取得にはイメージファイバを使用し、その端面に描出された画像をイメージセンサーに入射させる。イメージファイバ単体ではセンサー上に適切な大きさの像を結ばないためファイバ端面とセンサー間に使用するレンズについても検討を行った。イメージファイバの観察対象側もファイバ単体の端面では観察対象の画像を取得できないため、プローブ先端には屈折率分布型レンズという円筒形レンズが必要である。 今年度は主にハードウェア面の製作に主眼を置いて、上記の材料を元にシステムの試作を行った。内視鏡の画像伝送のためにイメージファイバを使用し、先端には屈折率分布型レンズという円筒形のレンズを紫外線硬化型接着剤にてファイバ端面に接着した。試作に当たってファイバとレンズの光軸を合わせるのが困難であり製作上の課題となっている。ファイバとレンズの複合部品はハニカムパイプという、1つのパイプ内に複数の管腔構造をもつパイプを使用して製作を考えている。1つのパイプの内径は0.3 mm程度と非常に細く製作が非常に難しい。接着工程では、接着剤の厚みが大きくなる分内視鏡全体の直径が大きくならざるを得ないことも現状の課題となっている。今後は接着剤の厚みを減少させ根管内への挿入が容易となるようなプローブの開発を目指す。 以上のハードウェア面で一定の進捗がありおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度はこれまでに明らかになった内視鏡製作にあたっての問題点の解決を図る。具体的にはファイバと屈折率分布型レンズの光軸合わせと接着剤の厚みの減少を目指す。これらを達成し双眼内視鏡の製作を行う。完成した内視鏡では2つのセンサーで画像を取得しその視差を利用するためキャリブレーション用画像を取得する。その後、取得した画像を用いて現在同時進行で開発している画像処理アルゴリズムを適用し根管の三次元像構築を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度の物品購入の際の端数が生じ、止むを得ず残額が発生した。
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