研究課題/領域番号 |
18K17055
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
中村 紫野 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (80782573)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ラマン分光法 / ラマンバンド / 蛍光強度 / セメント質 / 象牙質 |
研究実績の概要 |
申請者はこれまで、励起波長785nmで取得したラマンスペクトルよりハイドロキシアパタイト(HA)の960cm-1のラマンバンドを 内部標準とした蛍光強度を算出することにより歯根面に沈着した歯石の有無の評価が可能であることを発見した。この方法では 、レーザー照射距離や照射角度による数値の変動を限りなく抑えることができ、従って術者間の数値の変動を最小にすることが可能となる。この点は既存の歯石検出装置の欠点を補うことができる。 HAのラマンバンドは960㎝-1 以外にも430、448cm-1 [O-P-O bending region; ν2]、582、594、609cm-1 [O-P-O bending region, ν4]、1031、1048、1080cm-1 [antisymmetric P-O stretching region; ν3])が存在する。当初の研究計画はこれらについて各々スペクトルフィッティングを行い、本研究法により蛍光/ラマン強度比を算出し比較する予定であったが、960㎝-1以外のラマンバンドは単独のバンドではなく、複数のラマンバンドが重なり合っているバンドであるため、960cm-1以上にフィッティング操作が煩雑となり、本法に最も適したラマンバンドは960cm-1であることが分かった。 したがって、研究計画を変更し、歯周ポケットに測定プローブを挿入し実際に測定することを想定し、測定条件を湿潤状態(生理食塩水、血液、血漿)にして測定結果に変化が起こらないかどうか検証することとした。また、測定方法や測定条件はこれまでと同様とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画の変更に伴い追加実験を必要とするため、期間延長申請を行った。現在は、追加実験の結果を解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で使用した方法が実際に口腔内で使用可能かどうか検証するための追加実験を行う必要があると考える。本研究は乾燥状態の歯牙で行っているため、実際の口腔内のような湿潤した状態、または歯周ポケット内に存在する血液や歯肉工浸出液を考慮すべく、この状態を再現した研究方法を追加する必要がある。 また、次年度開催の海外学会で類似研究内容のグループの発表が あるため学会へ参加しディスカッションする。それを踏まえ、上記の追加実験を行ったうえで、論文作成、投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
追加研究が必要となり、その結果をまとめ論文作成・投稿を行うため。また、今年度行われる海外学会で類似グループの発表を聴講し、ディスカッションする必要がある。
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