研究実績の概要 |
2020年度は骨芽細胞へ分化誘導を行ったhiPSCs (Runx2-/-, Runx2+/+)、miPSCs (Runx2-/-, wild type) からRNAを抽出して骨関連遺伝子の発現を確認した。骨芽細胞分化誘導後の遺伝子発現の傾向にばらつきが見られることから、より効率よく骨芽細胞に分化誘導できる方法についての検討も行った。FACSを用いて間葉系細胞をソーティングし誘導する方法や、特定の薬剤を用いて分化誘導させる方法を検討した。iPS細胞の骨芽細胞への分化誘導法についてはこれまでにもたくさん検討されてきたが、再生療法への応用においては以下に目的とする細胞に誘導できるかが大きな目標である。効率が上がることで、短期間で必要量の移植材料としての細胞提供できる点で重要なことである。今回は薬剤による誘導方法が効率的であることから、その方法を用いて骨芽細胞分化誘導を行いRunx2, Vdr, Rankl, Sp7等の発現の違いを確認した。その結果、遺伝子編集により樹立したhiPSCs (Runx2-/-, Runx2+/+)においてもmiPSCs (Runx2-/-, Runx2+/+)と類似した発現傾向を示すことが確認された。遺伝子異常をモデルとしたマウスにおける遺伝子発現がヒトと類似していることは、こうしたモデルマウスでの研究がヒトの遺伝子疾患に置き換えて検討することができると考える。 今後も遺伝子疾患モデルマウスを用いて、骨芽細胞分化におけるRunx2の役割についてさらなる研究を進める予定である。
|