研究課題/領域番号 |
18K17061
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
井川 貴博 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (20780290)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 歯周組織再生 / 組織工学 / 成長因子 / 生体材料 / インプラント |
研究実績の概要 |
骨補填材は歯周組織再生治療やインプラント治療において欠かせない材料である。骨補填剤の主な目的はスペースメイキングであり、再生を促す重要な要素である。これまでにも様々な骨補填材が歯周組織再生治療・インプラント治療に利用されているが、いまだに最適な骨補填材の発見には至っていない。その主な理由として、長期経過にて骨補填剤が残存していること、残存した骨補填剤による影響が不確かなことがあげられる。そこで、近年では骨への完全な置換を期待し、細胞・細胞増殖因子等を骨補填材と併用することが多くなっている。つまり、再生に関わる因子を活かすための骨補填材、という新しい視点からのアプローチが必要である。本研究課題では従来の顆粒状の骨補填材とは異なる形状を駆使し、理想的な時期に骨への置換を誘導し、その作用機序を解明することを目的として実験を行った。ウシ脱灰皮質骨は歯科領域において広く使用されている。しかし上記のように、長期経過にて残存することが報告されている。そこで従来のウシ脱灰皮質骨とは異なる構造を持つウシ脱灰皮質骨を使用し、インプラント治療に対する骨再生への影響を調べた。また歯周組織再生治療において有効であるエナメルマトリックスデリバティブを液状にした成長因子を併用した際の付加的影響についても調べた。結果としてエナメルマトリックスデリバティブリキッドはインプラント周囲の骨再生における効果を促進させる可能性があることが分かった。さらに、トンネル状骨補填剤の長期経過における組織学的評価ならびに他構造との比較に対する評価を行っている。 今後、これまでの実験結果から細胞・細胞増殖因子や薬物徐放に効果的な骨補填材の配列・構造の探索に取り組む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では、適切な期間で骨へ完全に置換されるための骨補填材と細胞増殖因子や抗菌薬などの薬物との併用ならびに骨補填材の3次元的構造の違いによる骨再生への有効性を明らかにすることを目的に実験を行っている。これまで従来のウシ脱灰皮質骨とは異なる構造を持つウシ脱灰皮質骨およびエナメルマトリックスデリバティブリキッド併用によるインプラント周囲の骨再生への効果について調べた。さらに、トンネル状骨補填剤の長期経過における組織学的評価ならびに他構造との比較に対する評価を行っているが、これまでの結果から適切な期間での完全な骨への置換は認められなかった。 今後、骨類似または薬物徐放に有効なナノ構造を有する骨補填剤の開発を行っていく予定であるが、適切な構造が未だに不明であるため、さらなる実験が必要であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
骨類似のナノ構造を基盤としたβ-TCP顆粒を凝集させ、3次元的に異なる多孔性管腔構造を有する骨補填材の開発を試みる。 これまでの研究で、同一材料でも幾何学的構造を変化させることによって組織分化・成長・吸着に影響を与えることが報告されているため、従来の骨補填剤をもとに、3次元的に異なる構造にした際の有効性について細胞実験モデル・動物実験モデルで明らかにし,得られた結果を取りまとめ, 成果の発表を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究実施が遅延したため、次年度に合わせて骨補填剤の開発をおこなう
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