様々な骨補填材が歯周組織再生治療・インプラント治療に利用されているが、いまだに最適な骨補填材の発見には至っていない。しかし、骨補填剤の主な目的はスペースメイキングであり、再生を促す重要な要素であるため本研究課題では再生に関わる因子を活かすための骨補填材、という新しい視点からのアプローチとして、従来の顆粒状の骨補填材とは異なる形状を駆使し、理想的な時期に骨への置換を誘導し、その作用機序を解明することを目的として実験を行った。 本年度では様々な骨補填材料が長期に安定して使用できる材料であるためには幾何学的な構造が重要であると考え、ミクロ構造を比較することが必要であると考え、①焼成温度を変更する②化学的処理を行うことで、骨補填材のミクロ構造がどのように変化するかを調査した。焼成温度を変えることで、気効率の変化や構造上の変化は認める同様な変化を継続的にすることが難しく検討の必要性があると考えられた。また、それらの構造上の変化が骨再生にどのように影響するかについて調べるまでには至らなかった。 また本年度は歯周組織再生で使用される細胞増殖因子を併用することで、骨への置換率が変化するかを比較する実験を予定していたが、細胞増殖因子の併用方法についての調査を行った。浸漬する時間による骨補填材内部への細胞増殖因子量を計測することは難しく、更なる検討が必要であると考えている。 本研究では、適切な期間で骨へ完全に置換されるための骨補填材と細胞増殖因子や抗菌薬などの薬物との併用ならびに骨補填材の3次元的構造の違いによる骨再生への有効性を明らかにすることを目的に実験を行っているが、これまでの結果から適切な期間での完全な骨への置換は認められなかった。
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