研究課題
本研究の目的は,申請者が研究している真菌由来低分子化合物テレインの破骨細胞分化抑制能に着目し,薬剤関連性顎骨壊死(medicine-related osteonecrosis of the jaw: MRONJ)を起こすビスフォスフォネート(BP)製剤に代えて,新規の骨粗鬆症治療薬として応用できるか検討することである。超高齢社会の日本において,健康寿命の維持には骨粗鬆症等に起因する病的骨折を防止することが重要である。そのため,近年,ゾレドロン酸等のBP製剤の処方数が激増している。しかし,BP製剤の重大な副作用として抜歯後の顎骨炎症に伴うMRONJの発症がある。8020運動達成率が50%を超えた時代において,歯周病や歯内疾患の罹患歯を持つ高齢者数が激増しているにも関わらず,MRONJの発症機序は未だ解明されておらず,代替薬も開発されていない。そこで本研究では,これまで申請者が研究してきた低分子化合物テレインの破骨細胞分化抑制能を活用し,骨粗鬆症治療におけるBP製剤の代替薬としての可能性を検討する。本年度は,卵巣摘出骨粗鬆症マウスモデルを用いて,低分子化合物テレインの大腿骨骨梁抑制効果を検証した。その結果,マイクロCT解析を用いたエックス線学的評価において,テレインは有意に大腿骨骨梁抑制作用を有する可能性を示唆する結果を得ることができた。今後は組織学的評価に加え,分子メカニズムの解明を目的とした発現遺伝子の変化の網羅的解析を行っていく予定である。
2: おおむね順調に進展している
本年度予定していた腫瘍評価項目の一つである骨粗鬆症マウスモデルにおけるテレインの大腿骨骨梁抑制効果をエックス線学的評価(マイクロCT解析)において確認することができた。
エックス線顎的評価に加え,組織学的評価および発現遺伝子変化の網羅的解析を行うことによって,テレインの骨梁抑制効果メカニズムの解明に取り組む。また,副次評価項目として設定した同実験モデルマウスに対する抜歯介入処置を行い,MORNJ発症の有無を検証するとともに,そのメカニズムの解明に取り組む予定である。
(理由)動物実験において,予定していた金額よりも少ない額で実施できたため残金が生じた。(使用計画)予定している分子生物学的実験の消耗品購入に計上させていただき,適正執行する予定である。
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Heliyon
巻: 4(11) ページ: e00979
10.1016/j.heliyon.2018.e00979