研究課題/領域番号 |
18K17071
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐野 朋美 九州大学, 歯学研究院, 助教 (50782075)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | microRNA / 脂肪組織 / 歯周組織 / マクロファージ / 炎症 |
研究実績の概要 |
【目的】先行研究で、脂肪細胞-マクロファージ共培養系をLPS刺激した際に脂肪細胞で発現変動を示すmicro (mi) RNAのスクリーニングを行った。その中に炎症制御に関与するmiRNAが含まれていた。炎症状態での本miRNA発現誘導については、脂肪・歯周両組織で報告があるものの、実際の炎症抑制効果については明らかではない。そこで、脂肪・歯周組織における本miRNAによる抗炎症効果を検討した。 【材料と方法】LPS刺激下でマクロファージと共培養した脂肪細胞または歯肉線維芽細胞における当該miRNA発現量および各々の細胞の単独培養群における発現量を定量した。また、共培養群や単独培養群に当該miRNAを導入した際のサイトカイン遺伝子発現やタンパク発現の変動を測定した。さらに、マウス尾静脈より本miRNAを投与した際の脂肪・歯周組織の炎症抑制効果について検討した。 【結果】LPS刺激下でマクロファージと共培養すると、脂肪細胞および歯肉線維芽細胞からの本miRNAの発現が亢進し、単独培養群ではマクロファージにおいてmiRNAは発現が亢進した。また、これらの細胞に本miRNAを導入すると、サイトカイン発現が抑制された。 【考察および結論】TNF-α中和抗体添加によりサイトカイン産生が抑制されるという過去の結果から、今回用いた共培養系においても当該miRNAがマクロファージからのTNF-α発現を抑制し、結果的に炎症抑制につながったと考える。本miRNAは肥満糖尿病などにおいて脂肪・歯周組織の炎症に共通の制御因子として働く可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に記載した2018年度分を計画通りに遂行することができ、結果も得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後はマウスを用いた解析について、結果をさらに詳細に検討し、成果発表へとつなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 本年度は計画通りに進んだが、計画時に設定した予算よりやや安価に実験関連試薬等を購入することができたため。 (使用計画) 次年度も引き続き計画通りに進める予定であるが、より説得力のある解析結果を示すことができるよう、別の解析方法も加え、実験試薬の購入に充てる。
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