本研究では、プロポリスのもつ歯周病改善効果、特に細胞に対する生理活性作用の機序に ついてDNAメチル化という観点から検討することを目的とする。 これまでに、プロポリスの歯周病改善効果のメカニズムについて歯周病原菌に対する抗菌 作用機序の詳細は報告されているが、歯周組織や細胞に対するプロポリスの生理活性作用機序に関するものは少ない。特に、DNAメチル化に着目した研究は全く行われていない。また、プロポリスを用いた生理活性を検討する添加培養実験は2~3日程度の短期間のもの が多いが、歯周病などの慢性疾患を対象とした場合は適切とは言い難かった。 本年度は、ヒト歯根膜線維芽細胞(HPDLFs)に対し、プロポリスと歯周病原菌Porphyromonas gingivalis由来Lipopolysaccharide(LPS)を長期添加させた細胞サンプルを作成した。プロポリスの成分中で生理活性作用をもつと着目されているArtepillin Cを用いての細胞毒性試験を行い、長期培養を行う際の添加濃度を20 μM/mlに決定した。その後、HPDLFsに対しArtepillin C 20 μM/mlとLPS 10 μg/mlを培養液中に3日毎交互に添加・非添加を繰り返しながら1ヶ月間した。コントロールには、DEMSOと滅菌水を添加した。1ヶ月培養した細胞を観察したところ、細胞の死滅等も認められないため、遺伝子発現解析とDNAメチル化解析のためDNAおよびTotal RNAを抽出した。
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