研究課題/領域番号 |
18K17077
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
大原 絹代 日本大学, 歯学部, 専修医 (10731606)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 歯髄炎 / TLR4 / 関連痛 / 三叉神経節細胞 |
研究実績の概要 |
患者が来院する際に最も多い主訴は歯痛であるが、最近痛みの原因が痛みを感じる部位と全く異なる部位(顔面皮膚、顎関節、歯根膜、舌あるいは口腔粘膜)に異所性異常疼痛が生じる非歯原性歯痛を訴える患者は少なくない。口腔顔面痛を熟知していない歯科医師は、このような異常疼痛を口腔や顔面痛による疾患と誤認し、誤った治療を行ってしまう可能性がある。歯髄炎に起因する口腔顔面領域の異所性異常痛覚は症状が多岐にわたるため、疾患箇所以外に異所性異常疼痛という形で全く異なる部位に慢性の痛みが引き起こされる。 これまでの研究で,三叉神経の損傷や口腔顔面領域の炎症に起因する慢性痛は,口腔顔面領域の感覚障害のみならず,咀嚼機能障害あるいは嚥下障害のような様々な機能にも影響を及ぼすと報告されている。ヒトの歯髄炎では,多くの場合,持続的な歯痛が引き起こされるが,歯髄炎によって末梢神経系が感作されると,しばしば口腔内に異所性の痛覚異常が誘導されることが知られている。口腔顔面の感覚異常や痛覚異常は,誤診あるいは誤治療のような臨床的に深刻な問題を引き起こす原因となる場合が多い。歯髄炎に伴う異所性異常疼痛を解明することは、原因不明の口腔顔面痛により苦しんでいる患者に適切な治療を施し、不適切な歯科治療から患者を救うことに役立つ。 本研究は、歯髄炎によって誘導される異所性異常疼痛に対する三叉神経節細胞間における機能連関の分子メカニズムを明らかにする。TLR4の発現からTRPA1合成に至る細胞内情報伝達経路に着目し、歯髄炎に起因する異所性異常疼痛発症に関する三叉神経節細胞間および細胞内における分子メカニズムの解明を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度はComplete Freund’s adjuvant (CFA)を歯髄投与することによって歯髄炎モデルラットを作成し、①舌の機械的および熱刺激に対する行動薬理学的解析を行う。②舌の組織学的評価ならびにTRPA1受容体およびリン酸化TRPA1の発現解析を免疫組織学的手法およびWestern blot法を用いて行う。③CFA歯髄投与後の三叉神経節内のHSP70の量的変化を解析する。までを行う予定だったが、免疫組織学的手法に時間を割いておりリン酸化TRPA1の免疫組織学的手法およびWestern Blot法による定量的解析に遅れを生じている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究として、今年度行うはずだった実験計画を継続して行っていき、それ以降④舌を支配する三叉神経節細胞にNFkBおよびMAPkのファミリーである、リン酸化ERK、リン酸化p38およびリン酸化JNKの発現亢進があるかどうかを明らかにする。⑤CFA歯髄投与後の舌の機械的および熱刺激に対する逃避行動の三叉神経節内TLR4 inhibitor, NF-kB inhibitor, pERK inhibitor投与の影響を解析する。⑥CFA歯髄投与後の各種inhibitor投与におけるTRPA1受容体およびリン酸化TRPA1受容体発現解析を行う。⑦舌を支配する三叉神経節細胞に発現したNFkBおよびMAPkとTRPA1発現の関係を、形態学的、生化学的および電気生理学的手法を用いて明らかにする。⑧またWhole cell patch clamp法を用いて、三叉神経節細胞の電気生理学性質を明らかにすると同時に、モデルラットの三叉神経節細胞から単一神経活動を記録し応答特性を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 研究計画どおり経費を使用したが、平成30年度の実験計画の進行状況がやや遅れており、本来購入する予定であった抗体および実験器具などをまだ購入していないため。 (使用計画) 実験計画の進行がやや遅れているために、本来購入する予定であった抗体および実験器具の消耗品費に充当し実験を進めていく予定である。また、データ収集および解析の遅れによる影響で、学会での発表が次年度に延期になってしまったため、次年度に発表できるように次年度助成金とあわせて旅費および学会参加費としても使用する。データ採取および解析を行うために適正に使用したいと考えている。
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