本年は昨年得られた知見から、皮下にハイドロキシアパタイト+β-TCP+自家骨を移植する実験において、自家骨・β-TCPの配合量を増やすことで、良好な骨形成が得られる配合量を見出す予備実験を計画した。安定して良好な骨形成が得られるようになったら、本課題の目的である、FGF-2 が骨形成に与える影響を検討する本実験を行う予定であった。 予備実験ではβ-TCP:ハイドロキシアパタイトの配合比を1:1とし、自家骨を微細に粉砕し血漿との懸濁液としたものを真空下で含浸させて作った骨移植材において良好な骨形成が得られる事が確認できた。皮下移植から16週の治癒期間を設定し、標本採取行う事である程度安定した骨形成が得られるようになった。 その後、β-TCP:ハイドロキシアパタイト1:1+自家骨・血漿懸濁液を含浸させ、FGF-2の影響を考察する実験を計画したが、新型コロナウイルス感染症の影響により緊急事態宣言が発出され、数ヶ月実験を中断しなければならなかった。そのため、自家骨の採取・粉砕など、最初からやり直しになってしまい、実験データの解析が本年度中に間に合わず、学会発表・論文投稿をする事ができなかった。 しかし、本研究から、作成した骨欠損に骨移植材+FGF-2を応用した実験を学会発表する事ができ、β-TCPの有効性を示す論文投稿もする事ができた。これらの知見から皮下において良好な骨形成が得られる実験系を発案する事もできたため、今後の研究に応用して行きたい。
|